PDCA日記 / PDCA Diary

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PDCA日記 / Diary Vol. 34「勝利のための逃走」/ "Escape for Victory"

English follows Japanese.

PDCA日記 Vol. 34「勝利のための逃走」】

ビジネスにおける重要な判断として、「辞め時」があると考えています。

古くはナポレオン、旧日本軍が辞め時を決められず敗北し、現在でもサンクコストから逃れられず、ずるずると不採算業務を続けている企業は後を絶ちません。

私が自営を始めた際、2年連続で赤字になったら撤退ということを決めており、これが辞め時だったことになります。

自営の良いところは、サンクコストにしばられる前に事業継続が困難になるため、辞め時を決めず、いつまでも不採算業務を継続することができないというメリットがあります。

今回紹介する資料「戦略は日本史から学べ」は、「壬申の乱から関ヶ原の戦いまで『戦い』のシナリオを紐解く」をキャッチフレーズにしており、「姉川の戦い(P157)」のキーコンセプトを「勝利のための逃走」としていることが印象的でした。

1570年の姉川の戦いでは、織田信長が味方だった浅井長政の裏切りを確認するやいなや、「わずか10人あまりの供回りだけを連れて飛ぶように逃げた(P150)」ことで知られています。

本書によると、「(信長の逃げる)その速さは、参陣していた徳川家康さえ気付かなかったほど(P150)」で、織田信長は辞め時を誰よりも理解していた武将だったのでしょう。

辞め時を間違えない方法としては、「こうなったら撤退する」という目安をあらかじめ決めておくことです。

それを周りに宣言しておくことで、サンクコストにとらわれず合理的な判断が下しやすくなるのではないかと考えています。

それでは、本日もPDCAを回して行きましょう!


P.S. 辞め時の設定タイミングは、事業開始前がポイントかと思います。

定性的な内容ではなく定量的(つまり、数字で示す)に辞め時を決めておくことで、「まだ大丈夫」という精神論(?)にとらわれることもなくなります。

埋没費用であるサンクコストにとらわれている組織にいる場合、「これはサンクである」ということについて、数字を含めて提示する事が鍵になるでしょう。

一番重要なことは、「人間はサンクにとらわれる」ことを知っておくことかと思います :-)。

これは株式などの金融取引においても同じで、「ロスカット」と呼ばれる損切のタイミングを決めておくことで、含み損が拡大し続けるリスクを軽減することが可能です。

金融のプロが実践しているように、「XX%下落したら損切する」と最初に決めておくことで、希望的観測を持ち続けるジレンマからも解放されます。

人間は見たいものしか見ない傾向にありますので、見たくないものが発生した場合、損切や撤退タイミングを定量的に決めておくことが、リスク最小化のポイントになるでしょう :-)。

< Mr. PDCAのボンジュール英語<Mr. PDCAのボンジュール英語「sunk cost = 埋没費用 」>

今回出てきたサンクコストは最近メディアに登場する言葉ですが、「沈む」という意味の「sink」の過去分詞系「sunk(過去形はsank :-)」から来ており、「sunk cost」は「埋没費用」と訳されます。

自分でいうのも何ですが、私はサンクコストの専門家であり、前職において、ある国(B国)のビジネスが赤字続きになっており、サンクコストを切るために状況を打開しようとしたことがあります。

企業がサンクコストを切れない背景には、「経営者が決めたことは変えられない」という心理的要因があると言われており、私の前職でもCさんというとっても偉い方が決めた「B国でのビジネス」について、「黒字化の目途が立たないことは明らかだが、Cさんが決めたことなので誰も何も言えない」という局面に陥っていました。

若き日(?)のMr. PDCA は怖いもの知らずだったのか、Cさんに対してこう言いました。

「B国でのビジネスは、続ければ続けるほど赤字が出ます。サンクコストであることは明白で、速やかに撤退すべきです。」

この私の提案に対して、とっても偉いCさんはこう反応しました。

「俺が決めたことに意見するのか?どれだけの金と時間を費やしたと思っている?B国の事業は何が何でも黒字化させる。撤退は絶対にしない。」

その後、私が所属していた部門自体が消滅したため(!)、B国どころが本体のビジネスも終わってしまいました(「絶対」という言葉を信じてはいけませんね :-)。

サンクコストにこだわって大失敗した例として知られているのは旧日本軍であり、最近では豊洲の問題がサンクコストでしょう。

第二次大戦中、早めに撤退すべき地域があったにもかかわらず、旧日本軍は「10万人の犠牲を出しておきながら、今更撤退できるか!」というサンクコストにとらわれ、結局300万人以上の犠牲を出すことに繋がりました。

豊洲について言えば、数千億円の費用がかかったことは変えられないため、それはサンクコストとして「忘れる」しかなく、「今後収益を上げるにはどうすべきか」という観点から判断が行われるべきです。

しかしながら、「サンクコストを無駄にしてはならない」という謎の発言が出ており、「起こったことを忘れて、次のことだけを考える」ことが中々できない状態です。

サンクコストはすでに沈んでおり、返ってこないため忘れるしかありません。

「サンクコストを無駄にしてはならない」という発言自体が矛盾しており、サンクコストに縛られていることになります(つまり、サンクコストが何であるかを理解していない :-)。

最近、私に起こったサンクコストとしては、あるカレー屋さんでの出来事があります。

お盆休み中は多くの飲食店が閉まっていたことから、あるカレー店に入り、「ライスの量は普通で良いですか?」と店員さんに聞かれ、「普通というのは、ライスの量が一番少ないのだろう」と勘違いした私は、「普通でお願いします」とオーダーしました。

カレーが到着すると予想以上にライスの量が多く、私は「ライスの量が多いな。残すしかないな。でも価格が一番安いからいいか」と思いながら食べ始めたのですが、メニューを見ると「ライス少なめ(50円引き)」という記載があるではないですか!

結局ライスを残すことになり、本来であれば「ライス少なめ」で50円安い価格ですんだ食事が、「ライスを残し、50円多く払う」という大変ムダな場面に私は直面しました(食事を残すことは、私にとって耐えられないことの一つ (*ノωノ)。

レジで支払いの際、「もったいないことをしたな」と感じたと同時に、「これはサンクコストだから忘れるしかない」と店の外に出た瞬間に切り替えました(俺は何て前向きなのだろう :-)。

人間は自分が考えている以上にサンクコストに縛られており、映画館に入って「この映画は面白くないな。でもお金を払ってしまったし」と感じながら最後まで鑑賞した場合等も「サンクコストに縛られた」可能性があります。

「ボンジュール英語」が「本文 + P.S.」部分よりも長くなってしまいましたが(PDCA日記史上初!)、「これはサンクコストなのかな?」と感じたらサンクコスト評論家(?)の Mr. PDCAに相談しましょう :-)。


【"PDCA (plan-do-check-action) Diary Vol. 34 "Escape for Victory"】

One of the most important decisions in business must be the timing to withdraw.

In the old days, Napoleon and the former Japanese army were defeated without deciding when to withdraw, and even today many companies have been unable to escape from the sunk cost.

When I started self-employed, I decided to withdraw if I was not able to make profit for two consecutive years.

The advantage of being self-employed is that it would be difficult to continue unprofitable business.

The material to be introduced today “Learn strategies from Japanese history (Japanese only)” has a catchphrase of “Escape for Victory” and the following phrases were impressive.

In the battle of 1570 in Anegawa region, as soon as Nobunaga Oda (Japan's legendary warrior) confirmed his subordinate betrayal, Oda escaped from the battlefield.

According to this book, “the speed of Oda's escape was so quick, even his partner, Ieyasu Tokugawa, could not notice." (Unquote)

In order to avoid the mistake in business, this book must be very useful, because the real stories were explained in Japanese history.

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