PDCA日記 / PDCA Diary

継続は創造だ! / Continuity is Creation!

PDCA日記 / Diary Vol. 198「利益は自分のもの、損失は納税者のもの」/ "Profit is for us, loss is for taxpayers"

English follows Japanese.

PDCA日記 Vol. 198「利益は自分のもの、損失は納税者のもの」
 

 

PDCAカフェで、「Mr. PDCAが一番好きな作家は誰ですか?」と聞かれることがあります。

 

私の一番好きな作家は、ウォールストリートで勤務経験のある人であれば、全員が読んでいると言われるナシーム・ニコラス・タレブ(以下、「NNT」)です。

 

NNTは「ブラック・スワン」「反脆弱性」「まぐれ」などの名著を発表しており、この3冊はビジネスパーソンにぜひ読んで頂きたいです。

 

ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質

ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質

 

 

 

 

NNTの本の良いところは、内容の鋭さはもちろんですが、あらゆるところにジョークやユーモアが散りばめられていることです。

 

チャレンジングな局面が多いビジネスにおいては、何気ないユーモアが助けてくれることが、結構あると私は考えています。

 

そのため、PDCA日記リーダー(?)の皆様には、NNTの本のように知的センスを磨けると同時に、ユーモアの感覚も研ぎ澄ませる著作に目を通すことをお勧めします :-)。

 

今回紹介する資料身銭を切れは、「 「リスクを生きる」人だけが知っている人生の本質」をキャッチフレーズにしており、「ロバート・ルービン取引:隠れた非対称性とそのリスク」部分の以下フレーズが印象的でした。

 

「2008年、隠れた非対称性のリスクがシステム内に蓄積した結果、銀行が吹っ飛んだ。

 

リスク転嫁がお得意な銀行家たちは、特定の爆発的リスクを隠して安定した儲けをあげ、教科書の中でしか成り立たないような学術的なリスク・モデルを使い(学者はリスクについても無知も同然なので)、いざ銀行が吹っ飛ぶと急に不確実性(目に見えない予測不能ブラック・スワンと、例のものすごく頑固な作家)の話を持ち出してきて、過去の収入はちゃっかりそのまま懐に収める。

 

これこそが、私のロバート・ルービン取引だ。

 

ロバート・ルービン取引?

 

アメリカ合衆国財務長官ロバート・ルービンは、国民がコーヒー代の支払いに使う紙幣に署名の入っている財務長官のひとりだが(アメリカで発行されるドル紙幣には、在任中の財務長官の署名が印刷される)、2008年の銀行崩壊に先立つ10年間で、シティバンクからなんと1億2,000万ドル以上をかき集めた。

 

ところが、シティバンクが文字どおりの支払い不能に陥り、納税者による救済を受けても、彼は不確実性を言い訳として持ち出し、小切手に署名しなかった。

 

表が出れば大儲け。

 

裏が出れば『ブラック・スワンだ』と大騒ぎ。

 

ルービンは、納税者にリスクを転嫁したことさえ認めなかった。

 

そうして、スペイン語文法の専門家、補助教員、ブリキ缶工場の現場監督、菜食主義者の栄養アドバイザー、地方検事補の事務官といった人々が、彼のために『損切り』を行った。

 

要は、彼のリスクを引き受け、彼の穴埋めしたわけだ。」(引用終わり)

 

身銭を切れ 「リスクを生きる」人だけが知っている人生の本質

身銭を切れ 「リスクを生きる」人だけが知っている人生の本質

 

 

P.S. 私が2009年に社会を離れ、学生に戻ろうと思ったのは、2008年にアメリカで発生した金融危機がきっかけでした。

 

アングロサクソンのビジネス手法に疑問を持っており、「絶対に値下がりしない」と言われていたアメリカの不動産価格は急落し、誰も責任を取ろうとしない仕組みから「一旦出た方がよい」と感じたからです。

 

金融危機の連鎖を防ぐため、私の前職の金融機関を含め、世界中の金融機関に対して、政府から天文学的な公的資金が投入されました。

 

私の当時の立場は置いておいて、システミック・リスクを回避するという観点からすると、当局の判断は正しかったと考えています。

 

それでも、金融機関の中にいた人たちの態度は、今回紹介した資料身銭を切れ」に出てくる「ロバート・ルービン取引」に近いものでした。

 

実質的に国有化の状況になっても、金融機関の内部では、「利益は自分のもの、損失は納税者のもの」という思想がはびこっていたことを記憶しています。

 

「この考え方はおかしいのではないか?」という疑問を抑えきれなくなった私は、フランスの大学院への進学を目指し、準備を始めたのでした。

 

結果として、私は金融の世界を離れることになりましたが、2009年の「学生に戻る」という判断は、私の人生の中で最も正しいものだったと確信しています。

 

皆様の中でも、「こういうことをしたいが、リスクがあってどうすべきか分からない」と迷っている方はいるかと思います。

 

よく言われることは、「行動しない後悔より、行動した後で感じる後悔の方が小さい」ということです。

 

私からすると、「行動した後で感じる後悔」などありませんでしたけれどね :-)。

 

とりあえず行動してみて、チャレンジがあれば修正するということを繰り返していくことが、ビジネスであると思っています。

 

ビジネスは戦争ではないので、とりあえずやってみても大丈夫だと思いますけれどね :-)。

 

ちなみに、今回紹介した資料のタイトル「身銭を切れ」には、「偉そうなことを言うのならば、自分でやってから言え!」というニュアンスが含まれています。

 

学者や評論家は偉そうなことを言いますが、自らはリスクを取っていない場合がほとんどです。

 

何か言う前に自分で行動し、リスクをコントロールしながら収益を上げることがビジネスですが、その最前線にいるのは、経営者や自営業者の方々ですね。

 

皆様、いつも本当にお疲れ様です :-)。

 

< Mr. PDCAのボンジュール英語「利益」 = 「profit

 

今回出てきた「利益」の英訳は、「profit」になります。

 

「利益は自分のもの、損失は納税者のもの」を英語で表現する場合、「Profit is for us, loss is for taxpayers」とすればよいですね :-)。

 

 

PDCA (plan-do-check-action) Diary Vol. 198 "Profit is for us, loss is for taxpayers"
 

The nice thing about Nassim Nicholas Taleb (NNT) books is that they are not only sharp, but they also have jokes and humor everywhere.

 

In a business with many challenging aspects, I think that casual humor can often help.

 

For this reason, I encourage PDCA diary readers to read books that sharpen their sense of humor as well as hone their intellectual sensations like NNT books :-).

 

The material to be introduced today "Skin in the Game" has a catchphrase of "Hidden Asymmetries in Daily Life" and the following phrases were impressive.

 

"In 2008, banks blew away as a result of hidden asymmetry risks accumulating in the system.

 

Bankers who are good at risk pass-through concealed certain explosive risks by making stable profits, and used scholarly risk models that can only be found in textbooks (scholars should be aware of risks and ignorance).

 

When banks blew up, suddenly they talked about uncertainty (the unseen and unpredictable Black Swan and the extremely stubborn writer in the example) and simply loses the past income.

 

That's my Robert Rubin deal.

 

Robert Rubin deal?

 

Former U.S. Treasury Secretary Robert Rubin is one of the Secretaries of the Treasury who has signed a bill used by the public to pay for coffee (U.S. dollar bills are signed by the incumbent Treasury Secretary) and in the decade preceding the bankruptcy of 2008, he received over $ 120 million from Citibank.

 

Despite Citibank's literal insolvency and it was saved by taxpayers, Rubin took uncertainty as an excuse and did not sign the check.

 

Rubin did not even admit that he had passed the risk on to taxpayers.

 

And so, Spanish grammar experts, assistant teachers, tin can factory supervisors, vegetarian nutrition advisers, and assistant prosecutors at the local government have done a "loss cut" for Rubin.

 

In short, ordinary people took Rubin's risk and made up for it." (Unquote)

 

Let's function PDCA today!   

 

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Skin in the Game: Hidden Asymmetries in Daily Life (English Edition)

Skin in the Game: Hidden Asymmetries in Daily Life (English Edition)

 
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