以前のPDCA日記で、「人間は権力者に逆らうことができない」ことを証明したミルグラム実験を紹介しましたが、人間が周囲のやることにいかに影響を受けるかということ(同調行動)の分析としてアッシュ実験が知られています。
今回紹介する資料「問いからはじめる 現代企業」の「倫理的行動の難しさ」部分で、アッシュ実験について分かりやすく以下のように説明されています。
「ソロモン・アッシュは、1955年に、2枚のカードを用い、実験を行った。左側のカードには1本の線が描かれており、右側のカードには3本の線が描かれている(以下同調実験用カード参照)。
(同調実験用カード)
被験者は7人のサクラがいるグループに入れられ、『右側のカードの3本の線の中で、左側のカードと同じ長さの線はどれか』と聞かれ、順番に回答する(正解は2)。
被験者は最後に回答するのであるが、それより前のサクラが揃って不正解を答えると、被験者も不正解の選択肢を選ぶ傾向が見られた。
12回の試行の中で、すべての質問に正解を答え続けた被験者は全体のおよそ25%で、残りの75%は1回以上サクラの回答に影響を受けて答えを誤ってしまった。
これは同調行動(自分の意見・態度・行動を合わせようとする行動)を明らかにした実験として、広く知られている。」(引用終わり)
資本主義社会に生活していると、色々な場面でサクラに遭遇しますが、アッシュ実験と同じくサクラとは分からない形で登場するケースが殆どであり、「自分はサクラにだまされない」と思っている人ほど、だまされる傾向にあると言われています。
その観点からすると、「自分はサクラにだまされている」という前提で生活をすると、客観的な判断がしやすくなるかもしれません(あるコンサルタントによると、「全てのマーケティングは、サクラの一種(例:テレビCM)」だそうです :-)。
それでは、本日もPDCAを回して行きましょう!
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P.S. 本書を読みながら思い出したのは、2000年代前半に私自身が携わっていたアメリカの不動産関連デリバティブ商品のことでした。
私は当時、ニューヨークで働いていたのですが、周りの同僚がマンションや一戸建てを次々と購入し、顧客の多くも不動産関連デリバティブ商品を「とにかく早く作ってくれ!」と騒いでいました。
「本で読んだ日本のバブルの再来だ。こんなことが続くわけがない。遅かれ早かれ大変なことになる」と私は思っていましたが、当時所属していた金融機関が年間200億ドル(約2.2兆円)以上の純利益を上げていたこともあって、株主、経営者、私を含めた従業員、顧客の全員が高揚感に踊っていたことを覚えています。
「皆が得をしている時、おかしなことを誰も変えられない。変えるインセンティブがないからだ」とある教授が言っていましたが、正にこの時のことを指していると感じました(「皆が得をすると思い込んでいるパターン」もあったな :-)。
私が同僚に1990年代の日本のバブル崩壊について説明をすると、「アメリカは日本のような失敗はしない。ニューエコノミーだ(懐かしい!)。Mr. PDCA(私のことね)、お前も早く家を買え!」の一辺倒で、誰も聞く耳を持ってくれませんでした(「人類の歴史から学べることは、人類が歴史から学ばないこと」とはよく言ったものです)。
その後、2008年に金融危機が発生し、不動産関連デリバティブ商品は値が付かなくなり、「絶対に下がらない」と言われたアメリカの不動産価格は急落しました(「絶対」という言葉を信じてはいけませんね :-)。
「皆が同じ行動をしていると同調しやすい」というのは本当ですが、ニューヨーク時代の私は不動産を購入することなどできず、金融危機の影響を個人として受けることはありませんでした (この経験から、私は一生賃貸の予定です :-)。
< Mr. PDCAのボンジュール英語「高揚感」 = 「elation」>
今回出てきた「高揚感」の英訳は、「elation」になります。
「Elation」もボンジュール英語で初めて目にした単語の一つであり、ここに来て語彙力の向上を続けている Mr. PDCA でした :-)。
In the previous PDCA diary, I introduced the Milgram experiment that proved "Humans can not oppose the authority figures".
On the other hand, as an analysis of how human beings are affected by the surroundings, Asch conformity experiment is well known.
The material to be introduced today "Modern Company (Japanese only)" explains Asch conformity experiment easily.
(Asch conformity experiment)
https://en.wikipedia.org/wiki/Asch_conformity_experiments
Since we are living in a capitalist society, we encounter many shills in various situations, but we could not tell whether these are shills or not in most cases.
In other words, we are affected by others unconsciously, so it must be important to understand this fact when we do business in the real world.
Let's function PDCA today!
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P.S. While reading this book, I remembered the real estate related derivative products which I was involved in when the American real estate bubble began in the early 2000s.
I have been working in New York for about two years since 2002, and my colleagues at that time have purchased condominiums and houses one by one, and many customers are asking me to sell real estate related derivative products as soon as possible.
When I explained about the collapse of Japan's bubble economy in the early 1990s, everyone said that "America is learning from Japan, we do not make the same mistake, Mr. PDCA (me :-), you also had better buy a house now!"
After that, the financial crisis occurred in 2008, and the real estate prices in the US plummeted.
It is true that we tend to tune with others when everyone is doing the same behavior, but in my New York days, I was not able to purchase real estate, because there was no funds fortunately.
Therefore, I was not influenced by the financial crisis as an individual (Due of this experience, I will never buy a house for good :-).