【PDCA日記 Vol. 341「状況判断と意思決定の違い」】
今回紹介する資料「これまでになかった ラグビー戦術の教科書」は、「戦術を知り、アタックとディフェンスの原理原則を理解することで、ラグビーIQは高まる」と唱えており、「状況判断と意思決定の違い」部分の以下フレーズが印象的でした。
「意思決定とは、スペースがない状況からスペースを作り出す行為であり、未来を予測して判断を下すことを言います。
対して、状況判断とは現象に対する『最適解』を導き出すことで正解がありますが、意思決定とは判断を共有することで正解へと導いていきます。
状況判断は、自分がプレイに関わって局面を打開していきますが、意思決定は自分が実際にプレイに関わる必要がありません。
逆にプレイに関わる時間が長くなってしまうと、防御や味方の状況を確認する時間がなくなり、次の攻撃の指示を出すことが困難になります。」（引用終わり）
過去のPDCA日記で、トルストイの名作「戦争と平和」に登場するナポレオンとクトゥーゾフを紹介しました。
ナポレオンは言わずと知れたフランスの皇帝であり、戦場を事前に細かくチェックし、地形等も確認した上で作戦計画を準備しました。
「戦争と平和」では、実際の戦闘になると自ら前線を駆け回って兵士たちに詳細な命令を与える指揮官としてナポレオンは描かれています。
一方、ロシア軍の総司令官だったクトゥーゾフはナポレオン軍がロシアに侵攻後、「モスクワ明け渡し」という有名な作戦を実行し、最終的に勝利を収めた大将です。
クトゥーゾフはナポレオンとは正反対のリーダーで、戦場に赴くこと等はせず、それどころか会議中に居眠りをするような人で、「動かない大将」と陰口を叩かれることもあったそうです。
ただ、戦争全体の大局を見極めていたのはクトゥーゾフであり、「モスクワを放棄してもロシアを失ったことにはならない」という有名なセリフを残して、モスクワからの退却を決定します。
ロシアに入ったナポレオンは冬将軍に苦しめられ、モスクワからの撤退を余儀なくされます。
ナポレオンが敗走を始めた際、クトゥーゾフは「決してロシア国境を越えてフランス軍を追わないよう」全軍に指示を出しており、結果的に全ての判断が正しかったと「戦争と平和」の中で説明されています。
ナポレオンがロシアで失敗した背景に、「細かく決めすぎた」ことがあります。
「現実の戦闘は、指揮官の命令とは無関係に、刻々と変化する状況に瞬間ごとに反応する兵士たちの行動によって進行する」ためであり、「ナポレオンによって作られた『天才的な』作戦指令は、一つとして実行されなかった。そもそも、実行されるはずがなかった」とトルストイは述べています。
今回紹介する資料「これまでになかった ラグビー戦術の教科書」を読みながら、「ナポレオンは自分が戦闘に関わる状況判断を行い、クトゥーゾフは自分が戦闘に関わらない意思決定を行ったのだな」と感じました。
ビジネスにおいても状況判断と意思決定の違いを理解しておくことは重要であり、経営者が行うのは意思決定であり、状況判断ではないということを改めて認識しましたね :-)。
それでは、本日もPDCAを回して行きましょう！
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P.S. 2019年は、日本でインフルエンザの流行が早まったと言われています。
この背景には、2019年のラグビー・ワールドカップが影響していると考えられています。
ラグビーの場合、南アフリカやニュージーランドなどの南半球の国が強豪であり、2019年夏に南半球から多くの人達が日本全国を訪れました。
北半球の日本が夏の時、南半球の国々は冬であり、インフルエンザが流行しやすい季節です。
インフルエンザが流行っている冬の南半球から来た人たちが、夏の日本にインフルエンザ・ウイルスを持ち込み、2019年は例年よりインフルエンザ流行が早まったという理屈ですね。
今回の新型コロナ・ウイルスもそうですが、どこかが夏になってもどこかが冬であり、人間の往来がある限り、ウイルスの流行は止められないことになります。
「感染症の歴史は人類の歴史」とも言われますが、新型コロナの根本的な解決方法は、薬とワクチンの登場まで時間がかかりそうですね。
P.S.2 日本では、「なぜマスクをしていないのだ？」とマスクをしていない人に詰め寄る「マスク警察」が登場しているそうです（私は見たことがないですが）。
一方、アメリカでは、「逆マスク警察」が登場しているとニューヨークの友人が教えてくれました。
逆マスク警察は、マスクをしている人に「なぜマスクをしているのだ？」と質問する人のことを指します。
アメリカでは、元々マスクをする習慣がありませんでした。
新型コロナ・ウイルスがアメリカ全土で流行し、当局からマスク着用を義務付けられるまでアメリカでは、マスクをしたことがなかった人がほとんどだったのです。
日本で新型コロナ・ウイルスの感染者が少ない理由の一つとして、BCG予防接種説を唱える人がいます。
BCG予防接種説については議論が続いていますが、アメリカでは予防接種を拒否する人が結構います。
「予防接種を拒否する権利がある」ということが理由のようですが、政府のいうことを信用しない人は一定数存在します。
「新型コロナ・ウイルスは問題ない」という意見をSNSで拡散させ、マスクを付けずに数百人規模のパーティをこれ見よがしに投稿する人もいるくらいです。
色々な国があり、様々な考え方がありますね。
＜ Mr. PDCAのボンジュール英語「状況判断」 = 「situational judgment」＞
今回出てきた「状況判断」の英訳は、「situational judgment」になります。
「状況判断と意思決定の違い」を英語で表現する場合、「Difference between situational judgment and decision making」とすればよいですね :-)。
【PDCA (plan-do-check-action) Diary Vol. 341 "Difference between situational judgment & decision making"】
The material introduced today "Textbook of rugby tactics that has never existed (Japanese only)'' reiterates that "By knowing tactics and understanding the basic principles of attack and defense, rugby IQ will increase" and the following phrases were impressive in the part "Difference between situational judgment and decision making."
“Decision making is the act of creating space from a situation where there is no space, and it means making decisions by predicting the future.
On the other hand, situational judgment has a correct answer by deriving an optimal solution for a phenomenon, but decision-making leads to a correct answer by sharing judgment.
Situational judgment involves breaking play by being involved in play, but decision-making does not require actual involvement in play.
On the other hand, if the time involved in play becomes long, it will be difficult to give instructions for the next attack, as there will be no time to check the status of defense and allies.” (Unquote)
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