PDCA日記 / PDCA Diary

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PDCA日記 / Diary Vol. 361「安楽死の条件」/ "Conditions for Euthanasia"

English follows Japanese.

PDCA日記 Vol. 361安楽死の条件」

 

日本には、約200万人の寝たきりの人がいると言われています。

 

自分で食事ができなくなったり、歯が衰えて咀嚼が難しくなった場合、動物は生命の維持が困難になります。

 

人間の場合、胃ろうなどの医療技術が進歩したことによって、自分で栄養が取れなくなった場合でも延命することが可能になりました。

 

一方、延命治療によって痛みに苦しんでいる人も、少ならからず存在していると言われています。

 

今回紹介する資料「安楽死を遂げた日本人」は、安楽死について取材を重ねた著者による執筆され、以下フレーズが印象的でした。

 

安楽死を行うためには、①耐えられない痛みがある、②回復の見込みがない、③明確な意思表示ができる、④治療の代替手段がない、といった4条件をそなえる必要がある。

 

これはスイスに限らず、オランダやベルギーといった国でもほぼ同様の条件だ。

 

取材を重ねるなかで、シンプルに見える4条件が、そうではないことに気づかされていった。

 

たとえば、本人の意思が、いかに移ろいやすいものか、何度も目にしてきた。」(引用終わり)

 

よく言われることですが、北欧諸国には寝たきりの人がほとんどいないと言われています。

 

自分で食事ができなくなった状態で、胃ろうなどの医療技術を受けながら延命するよりも、寿命に身を任せる方が自然であるという死生観があるようです。

 

また、延命を行うこと自体が「苦痛を伴う」という考え方が北欧にはあるようです。

 

痛みに苦しみながら生き続けるよりも、寿命に身を任せる方が「人間らしい」という考え方ですね。

 

延命治療を行うかどうかは生き方の問題ですが、この意思表示を「リビング・ウィル(living will)」と言います。

 

北欧の場合、認知症が進行する前にリビング・ウィルを表明することが一般的になっています。

 

日本の場合、リビング・ウィルを表明する前に認知症が進行してしまい、本人が延命治療をのぞんでいるかどうか不明に陥るケースが多いようです。

 

また、日本では医師が延命するかどうか決めることが殆どのようですが、北欧では介護師が患者と話し合いを行い、延命措置を取るかどうか決めるという特徴があります。

 

北欧では介護師が公務員である場合が多く、社会的地位の高い安定した職業であると考えられています。

 

どちらが良い悪いではありませんが、痛みに苦しんでいる人にどう対応するかについて、政治的な判断が必要な局面に来ているのかもしれません。

 

少なくとも、議論は必要な気がしますね。


この部分について、私は結構研究していますので、興味がある方はPDCAカフェにお越しください :-)。

 

それでは、本日もPDCAを回して行きましょう!   

 

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安楽死を遂げた日本人

安楽死を遂げた日本人

 

 

P.S. 今月(2020年7月)、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者から依頼され、薬物を投与して殺害した罪で、京都府警が2人の医師を逮捕しました。

 

日本では安楽死が基本的に認められていませんが、1991年に東海大医学部付属病院で発生した事件について、1995年に横浜地裁が判決で例外的に安楽死が認められる以下の4要件を示しました。

 

①耐えがたい肉体的苦痛がある

②死期が迫っている

③肉体的苦痛を除去する他の方法がない

④患者の明らかな意思表示がある

ーーー

 

ALS患者に薬物を投与した2人の医師は主治医ではなく、女性の死期が迫っていなかったことなどから、京都府警は「安楽死と考えられない」としています。

 

医療関係者の間でも、この事件については批判的な意見が大半のようです。

 

今回紹介した資料「安楽死を遂げた日本人」に記載されているスイスの安楽死4要件を改めて確認しましょう。

 

①耐えられない痛みがある

②回復の見込みがない

③明確な意思表示ができる

④治療の代替手段がない

ーーー

 

日本の場合、「死期が迫っている」という要件がありますが、スイスにはありません。

 

今回の事件を受けて、「渡る世間は鬼ばかり」の脚本家として知られている橋田壽賀子氏の「安楽死で死なせて下さい」という本も読んでみました。

 

橋田氏は「安楽死で死なせて下さい」の中で、「死ぬ自由があってもいいではないか」と述べており、「安らかに楽に死ぬこと」について考察しています。

 

安楽死で死なせて下さい (文春新書)

安楽死で死なせて下さい (文春新書)

 

 

安楽死の話が出てくると、私はいつも「ブラック・ジャック」に登場するドクター・キリコを思い出します。

 

 

ドクター・キリコは元々ゲリラ戦の最前線で軍医をしており、重傷を負って苦しんでいる兵士と数多く対面してきた経験から、安楽死専門の医師になりました。

 

ドクター・キリコ安楽死を施す条件として、以下の3つを設定しています。


①回復の見込みがないこと
②生きているのが苦痛であること
③本人が死を望んでいること

ーーー

 

ドクター・キリコが、「生き物は死ぬときには自然に死ぬもんだ。それを人間だけが、無理に生きさせようとする。どっちが正しいかね?」とブラック・ジャックに語りかけたことがあります。

 

京都でALS患者に薬物を投与した医師は、国会や政治家が安楽死に向き合わず、法的な方向性を示さないことを嘆いていたそうです。

 

「どっちが正しいかね?」というドクター・キリコのセリフは、現在に生きる我々に問いかけられているのかもしれませんね。

 

< Mr. PDCAのボンジュール英語「安楽死」 = 「euthanasia

 

今回出てきた「安楽死」の英訳は、「euthanasia」になります。

 

安楽死の条件」を英語で表現する場合、「Conditions for euthanasia」とすればよいですね :-)。

 

安楽死を遂げた日本人

安楽死を遂げた日本人

 

    

 

PDCA (plan-do-check-action) Diary Vol. 361 "Conditions for Euthanasia"

 

The material introduced today "Japanese who have been euthanized (Japanese only)" is written by the author who has been interviewing about euthanasia, and the following phrases were impressive.

 

"To euthanize, people need to have 4 conditions: unbearable pain, no chance of recovery, a clear statement of intention, and no alternative treatment.

 

This applies not only to Switzerland but also to countries such as the Netherlands and Belgium.

 

I realized that the 4 conditions that seem simple are not.

 

For example, I have repeatedly seen how easy it is for the person's intention to change." (Unquote)

 

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