【PDCA日記 Vol. 380「カネには色がついている」】
私が銀行員時代に教えられたことの一つとして、「カネには色がついていない」ということがあります。
「カネには色がついていない」の意味は、「同じお金なのだから、どのような使い道をしても同じであり、どんな経路で手に入れたかは関係がない」ということです。
一方、10年前に私が社会を離れて学生に戻った際、フランスで教えられたのは「カネには色がついている」という銀行で聞いたこととは真逆の内容でした。
「カネには色がついている」と聞いたのは行動経済学の授業で、「メンタル・アカウンティング」という考え方について詳細な話を聞いた際、非常に面白いと感じたことを覚えています。
今回紹介する資料「ナビゲート経営学」は、「心理・経営・会計を学ぶ-」をキャッチフレーズにしており、メンタル・アカウンティングに関する以下の記載が印象的でした。
「質問A：チケット代が10ドルかかる映画を観るために出かけた、という場面を想像してください。映画館の入り口で、あなたは10ドルのお金を落としてしまっていたことにきづきました。あなたは10ドルを出して、映画のチケットを買いますか？
この質問に対して、88%もの人々が『イエス』と答えました。つまり、大多数の人々はチケットを買うわけです。
質問B：映画を観に行こうと思い、あなたは10ドルのチケットを買った、という場面を想像してください。映画館の入り口であなたは買っておいてチケットを落としてしまったことに気づきました。映画を観るためには、チケットを買いなおす必要があります。あなたは10ドルを出して、新たに映画のチケットを買いますか？
この場合には、46%の人々しか、新たなチケットを買うと回答しませんでした。きっと映画を観るためにチケット2枚分のお金を払うことが、バカらしかったのでしょう。」（引用終わり）
どちらの質問でも映画を観る場合に使う支出は、20ドルで変わりません。
しかしながら、予めチケットを買っていた人がチケットを紛失した場合、お金を落とした場合（88%）の約半分（46%）しか映画を観に行かないことが、メンタル・アカウンティングの研究で確認されています。
消費者はお金の出し入れを考える場合、「映画を観るための財布」というように、個別の財布を心の中に設定していることになります。
20ドルの支出という結果は同じでも、条件によって行動が変わるというのは、人間の面白いところでもありますね :-)。
それでは、本日もPDCAを回して行きましょう！
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P.S. 若き日（？）のMr. PDCAが銀行で教えられた「カネには色がついていない」ということは、行動経済学上では間違っていることになります。
銀行では同時に、「とにかく疑ってかかれ」とも教えられていたため、「カネには色がついていない」という偉い人の言葉にも「本当かな？」と私は疑っていました。
フランスで「カネには色がついている」ことを学び、「やっぱりね！」とメンタル・アカウンティングの概念に目から鱗が落ちた気分でした。
PDCAカフェに来られる方の中に「経営学に興味があるのだが、どんな本を読むと良いか？」と質問される方がいます。
今回紹介する資料「ナビゲート経営学」は、経営学のエッセンスが読みやすくまとめられている良書だと思います :-)。
＜ Mr. PDCAのボンジュール英語「行動経済学」=「behavioral economics」＞
今回出てきた「行動経済学」を英訳は「behavioral economics」ですが、これはアメリカ英語であり、イギリス英語の場合は「behavioural economics」となります。
私の場合、アメリカの東海岸出身者から英語を学んだため、イギリス英語はまったく話せませんが、イギリス英語を話す人にはイギリス英語で合わせると、仲良くなりやすいようです。
ただ、関西人でもないのに無理に関西弁を話そうとすると、「変な関西弁をしゃべるなや」と言われる可能性があり、合わせる言葉によって判断が必要になりますね :-)。
【PDCA (plan-do-check-action) Diary Vol. 380 "Money has color"】
One of the things I was taught in the finance world when I was young (?) was that "Money does not have color".
The meaning of "Money does not have color" is that "Since money is the same money, it does not matter which route it came from".
On the other hand, when I returned to school 10 years ago, what I learn in France was exactly the opposite thing and that is "Money has color".
"Money is color" was taught at class in behavioral economics, and the professor explained the detailed story about the concept of "mental accounting" and I was inspired by this new concept very much.
The material to be introduced today "Navigate to the Management (Japanese only)" has a catchphrase that "Learning psychology, management and accounting" and the following descriptions on mental accounting were impressive.
"Question A: Imagine you went out to watch a movie with a ticket cost of $ 10. At the entrance of the cinema, you noticed that you had dropped $10. Do you want to buy a movie ticket by paying $10?
In response to this question, 88% answered "Yes". In other words, the majority of people will buy tickets.
Question B: Imagine a scene where you bought a $10 ticket, because you were planning to go to a movie. At the entrance to the cinema you noticed that you dropped a ticket. You need to buy a ticket to watch the movie. Do you want to buy a movie ticket by paying $10?
In this case, only 46% answered that they would buy a new ticket. More than half people do not pay the money for two tickets to watch the movie." (Unquote)
In either question, spending on watching a movie is $20 and the amount itself is exactly the same.
However, it has been confirmed by mental accounting that people would change behaviors whether you bought a ticket before or not.
It's an interesting part of human beings that their behaviors are changing depending on conditions :-).
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