PDCA日記 / PDCA Diary

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PDCA日記 / Diary Vol. 451「計量分析が敗因?」/ "Is metric analysis the cause of defeat?"

English follows Japanese.

PDCA日記 Vol. 451「計量分析が敗因?」】

 

ベトナム戦争は、アメリカ軍が唯一敗北した戦争と考えられています。

 

ただ、アメリカは宣戦布告をしていないため、ベトナム戦争の開始時期についても、諸説があります。

 

また、当時のアメリカ軍にはベトナム語ベトナム文化に精通した人材がおらず、現地の情報分析が不十分だったことが敗因の一つと言われています。

 

ベトナム戦争の反省に立って、現在のアメリカ軍にはあらゆる言語の専門家が揃えられています。

 

新しい言語を習得する場合、「その言葉しか使えない状況に置く」ことが最も合理的であることが確認されています。

 

私が10年前、フランスに行って「フランス語しか使えない」状況に陥った時と同じ場面のことですね :-)。

 

実際に、アメリカ軍は一度専門の語学研修プログラムを整備し、候補者を3か月間特定の言葉しか使えない環境に置く実験を行いました。

 

アラビア語の場合、アラビア語しか使えない施設を作り、アラビア語だけでアラビア語を教える教師を呼んできて、研修生たちを缶詰にした形でアラビア語漬けにしたわけですね。

 

結果として、アラビア語をマスターした研修生は誕生したのですが、このやり方を現在のアメリカ軍は取りやめています。

 

理由は単純で、精神的に参ってしまう研修生が出てしまったからです。

 

どれだけ効果的に語学をマスターできるとしても、研修生の一部が精神錯乱状態に陥ってしまうと、継続的な仕組みにすることは難しかったのでしょう。

 

ただ、このやり方は英語を学ぶ上でも参考になります。

 

皆様は、グーグルの「word coach」という機能を使ったことがあるでしょうか?

 

「word coach」は単語を覚えるための機能であり、対義語や類義語などが、自分の語学レベルに合わせてスマホに表示されます。

 

待ち時間や移動中などでも気軽に英単語を覚えられるため、英語の勉強が進まなくて悩んでいる方は一度試してみてください。 

 

今回紹介する資料「知略の本質」は「戦史に学ぶ逆転と勝利」を解説しており、「マクナマラの分析主義」部分の以下フレーズが印象的でした。

 

ロバート・マクナマラは、フォード・モーター時代に計量分析を駆使して高い実績をあげたことで、創業家以外で初めてとなる社長に就任したが、そのわずか数週間後、ジョン・F・ケネディに請(こ)われ、国防長官に転身する。

 

マクナマラは、十分な数のコンピュータがあって十分な数のハーバード経営学修士MBA)がいれば、前線から遠く離れていても戦争における最適戦略を計算できると考えた。

 

統合参謀本部は、非公式の別ルートを使ってジョンソンに進言しようとしたが、大統領は『マクナマラ・チャンネルを通して』報告するよう厳命した。

 

このような戦争指導体制下でマクナマラに報告されたベトナム戦争の重要な指標は、敵のベトナム人の死体数や捕獲数、鹵(ろ)獲兵器や破壊トンネル数などであり、敵の指揮への打撃などの質的側面は無視された。

 

マクナマラの支援したコンピュータの『村落評価システム』も、家畜を略奪された農民の怒り、家を焼かれた婦人の悲しみ、ナパーム弾で腕を焼かれた子どもの痛みまでは数値化できなかった。

 

マクナマラに報告された成果はつねに誇張され、低く見積もって30%は水増しされていた。

 

またアメリカ軍の各部隊の個人的名誉のために、過大な戦果を報告することもしばしば見られた。」(引用終わり)

 

未だにアメリカ国民から人気があるケネディ元大統領ですが、政治学者からは「何もしなかった(できなかった)大統領」と揶揄されることがあります。

 

マリリン・モンローと浮名を流すなど、ケネディ元大統領は行政手腕以外のところで、話題に上がることも多かったようです。

 

ケネディ、ジョンソンの後に就任したニクソン元大統領は、スキャンダルで失脚したこともあって、アメリカで人気の低い大統領に数えられています。

 

しかしながら、キッシンジャー国務長官を登用して現実主義を貫き、中国と国交を樹立するなど、政治の専門家からニクソン元大統領は評価を受けていたりします。

 

ケネディキッシンジャーの違いは、日本のおける田中角栄小沢一郎のようなものなのかもしれません。 

 

田原総一朗氏によると、「田中は明るかったが、小沢は暗かった」そうです。

 

ケネディは華やかな印象ですが、ニクソンは暗いイメージが強く、これが人気に反映しているのかもしれませんね。

 

 

それでは、本日もPDCAを回して行きましょう!   

 

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P.S. アメリカの政治学者の間でささやかれている「ケネディ無能論」の根拠として、ケネディ元大統領が就任直後に発生したピッグス湾事件があります。

 

当時のキューバを牛耳っていたフィデル・カストロ元首相を倒すため、1961年にアメリカの中央情報局(CIA)が主導した作戦がピッグス湾事件です。

 

約1,400人の亡命キューバ人で組織された反カストロ軍をアメリカ軍が支援し、キューバ南部のピッグス湾に上陸した出来事がピッグス湾事件です。

 

アメリカ政府とCIAは、この作戦の成功を確信していましたが、実際にはキューバ軍が事前にアメリカ側から情報を掴んでいました。

 

運の悪いことに、ピッグス湾事件の当日が満月の夜だったこともあって、反カストロ軍はキューバ軍から丸見えの状況に陥り、奇襲は大失敗に終わりました。

 

ケネディ元大統領は、「ピッグス湾事件の失敗は全て自分の責任」と認めましたが、カストロ元首相は1961年5月1日のメーデー演説で社会主義革命を正式に宣言しました。

 

それまでのキューバ社会主義革命は宣言されていませんでしたが、キューバにおける軍事整備をピッグス湾事件が引き起こした形になりました。

 

その後、1962年のキューバ危機につながるわけですが、この辺りの歴史について議論したい方は、PDCAカフェにお越しください☕。

 

ケネディ元大統領は1963年11月、テキサス州ダラスで暗殺され、当時の副大統領だったリンドン・ジョンソン氏が大統領職を引き継ぐことになります。

 

ジョンソン元大統領はベトナム戦争を拡大する政策を取り、前述のマクナマラを重用して、計量分析に基づく判断を行っていくことになります。

 

結果として、ベトナム戦争は泥沼化し、アメリカ世論もジョンソン元大統領に対して批判的になったことから、共和党の大統領候補として出馬したニクソンが1968年の大統領選挙に勝利します。

 

ジョンソン元大統領は1968年の大統領選挙に出馬しませんでしたが、民主党候補だったハンフリーがニクソンに敗れた背景には、ベトナム戦争に対する批判票があったとされています。

 

ニクソンは1968年の大統領選挙でベトナム戦争からの撤退を公約に掲げ、1973年にアメリカ軍はベトナムから完全に撤退することになります。

 

過去のPDCA日記で紹介したニクソンの名台詞「ザ・サイレント・マジョリティ(The silent majority)」は、ベトナム戦争に対する政策に表れていると言われています。

 

アメリカ人の多くは、「ベトナム戦争から手を引くべきと思っていながら、声を上げる場がなかった」とニクソンは考えていたわけですね。

 

 

< Mr. PDCAのボンジュール英語「計量分析」=「metric analysis」>

  

今回出てきた「計量分析」の英訳は、「metric analysis」になります。

 

「計量分析が敗因?」を英語にする場合、「Is metric analysis the cause of defeat?」とすればよいですね :-)。 

 

 

 

PDCA (plan-do-check-action) Diary Vol. 451 "Is metric analysis the cause of defeat?"】

 

The material introduced today "Essence of Wisdom (Japanese only)" explains "Reversal and victory learned from the history of war", and the following phrases were impressive in the part "Analyticalism of McNamara".

 

"Robert McNamara became the Ford Motor President to make full use of quantitative analysis, but only a few weeks later, John F. Kennedy begged him to become Secretary of Defense.

 

McNamara believed that with enough computers and enough Harvard MBAs, he could calculate the optimal strategy for war, even if he was far from the front lines." (Unquote)

 

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