PDCA日記 / PDCA Diary

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PDCA日記 / Diary Vol. 455「記録は記憶を補完する」/ "Records complement memory"

English follows Japanese.

PDCA日記 Vol. 455「記録は記憶を補完する」】

 

私が2009年に学生に戻り、ビジネススクールで学んで感じたのは、「複式簿記を重視している」ことでした。

 

私の場合、曲がりなりにも(?)銀行員でしたので、仕事の中で貸借対照表(以下「BS」)、損益計算書(以下、「PL」)、キャッシュフロー計算書などの財務諸表に触れる機会は、かなり多かったと思います。

 

ビジネススクールの会計の授業で面白かったのは、「財務諸表を比例縮尺で表現する方法」です。

 

BSとPLは皆様も目にしたことがあると思いますが、比例縮尺という手法を用いることで、財務諸表の金額の大きさに合わせてBSとPLを表示し、視覚的に企業の財務状態を確認することができます。

 

比例縮尺を詳しく知りたい方は、「武器としての会計思考力」という本の前半(1章~3章)で詳細が説明されています。

 

会計が苦手な人や、アレルギーがある方にとって、BSやPLを比例縮尺で理解することは、「会計って面白い」と感じるきっかけになると思います。

 

 

今回紹介する資料「教養の会計学」は、「ゲーム理論と実験でデザインする」をキャッチフレーズにしており、「記録は記憶を補完する」部分の以下フレーズが印象的でした。

 

「会計の中でもっとも重要な機能は記録と開示であるが、そもそもなぜ企業は記録をつける必要があるのだろうか。

 

そこでまず本章では『記録のある社会』と『記録のない社会』とを実験室実験で比較したディックホート(Dickhaut)らの研究に注目する。

 

ディックホートらの研究グループは、脳は会計制度の起源であると述べ、脳活動と会計行為との関係を論じている。

 

すなわち、文明の基本は、信頼(trust)や互恵性(reciprocity)による協調行動を行う能力にあるが、これらの信頼や互恵性に関する情報は、通常は人間の脳への記憶(memory)されていく。

 

たとえば、この取引相手なら信頼できるとか、この相手には裏切られたから、信頼できないとかいった情報は、脳の記憶を司る部位へ次々と記録されていき、次の取引時には、そのような記憶された情報を再起することで、取引をするかどうか、またどのような取引をするか意思決定を行うことになる。

 

そしてプリミティブな経済のもとでは、取引相手や回数も少ないため、そのような情報の記録・保存は、脳の記録だけで足りていた。

 

しかしながら、経済が発展・複雑化してくると、それでは不十分になる。

 

そこで登場するのが、『記録』という行為である。

 

つまり、取引履歴を『脳の外』へ随時記録していくことにより、人間は、経済発展の中でも、安心して取引を行うことができ、またそのことがさらなる経済の発展をよぶ、という正のフィードバック・ルールができ上がることになる。

 

以上のように考えると、会計は、複雑化していく経済環境の帰結であり、人間の脳(特に、記憶を司る部位)を補完するものであるというのが、彼らの仮説である。」(引用終わり)

 

それでは、本日もPDCAを回して行きましょう!   

 

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教養の会計学:ゲーム理論と実験でデザインする

教養の会計学:ゲーム理論と実験でデザインする

  • 作者:田口聡志
  • 発売日: 2020/04/20
  • メディア: 単行本
 

 

P.S. 今回紹介する資料「教養の会計学」を読みながら、過去のPDCA日記で紹介した「リファラル(縁故)採用」のことを思い出しました。

 

 

究極のコネ社会(!)であるアメリカでは、リファラル採用が半分近くを占めています。

 

最近は、日本でも社員紹介によるリファラル採用が4分の1を占めており、多くの企業がリファラル採用制度を取り入れています。

 

私の前職の外資系金融機関でも、中途採用リファラル採用が大多数でした。

 

外資系企業でリファラル採用が多い背景には、「書類選考や面接だけでは応募者の能力や適性が分からないため、社員の知り合いに来てもらうことが一番」という共通認識があったように思います。

 

人事関連の仕事をしている方で、リファラル採用を検討している場合、「知らない人を採ってはいけない 新しい世界基準「リファラル採用」の教科書」という本が参考になりますので、一度手に取ってみてください :-)。

 

 

また、リファラルではなく、通常の書類選考から応募をした場合であっても、選考が進むにつれて「以前の同僚や上司の連絡先を教えてください」と応募先の企業から聞かれることがあります。

 

これは、応募先企業が「リファラレンス」と呼ばれる採用予定者に対する確認作業を行おうとしていることを意味します。

 

応募先の企業は採用予定者の元同僚や上司に電話をかけ、「〇〇さんは以前、どのような働きぶりをしていましたか?」と実際のところを確認するわけですね(生々しい!)。

 

企業側が話をするのは、応募者が指名する元同僚や上司であるため、大半はポジティブなことを伝えてくれます。

 

ただ、前職できちんと引継ぎをしなかったりすると、「〇〇さんはねぇ~」とネガティブなコメントを出される可能性があります。

 

「立つ鳥跡を濁さず」という名言が日本にはありますが、退職する場合には引継ぎをきちんとすることをお勧めします。

 

十分な引継ぎなしに会社を辞める人を時々目にしますが、これは大変危険な行動です。

 

多くの人が「去り際」を見ていると思い、「きちんとした引継ぎが自分の将来にプラスになる」と肝に銘じることがポイントになるでしょう。

 

先程、「アメリカは究極のコネ社会」とお伝えしました。

 

アメリカ大統領選挙が目前に迫っていますが、現在のホワイトハウスで大統領の子供や親戚が要職を占めていることからも、「究極のコネ社会」であることをお分かり頂けるでしょう。

 

また、アメリカ大統領選挙で多額の寄付を行った人が外国の大使になれることも、アメリカ社会の特徴と言えます。

 

アメリカ国内で散歩をしていると、公園の名前に人名がついていたりします。

 

この人は、公園整備に多額の寄付をしたケースがほとんどです。

 

このようなことから、アメリカのことを「お金で名誉が買える社会」と表現する人もいます。

 

アメリカでは、寄付行為が広く控除対象になっており、税務対策の観点から「寄付できるところを富裕層が探している」という側面もあります。

 

良し悪しは別として、アメリカ社会が日本とは異なる部分と言えるでしょうね。

 

また、2016年の大統領選挙後に話題になった資料「ヒルビリー・エレジー」の中でも、「裕福な人たちは何をもっているのか?成功者たちの社会習慣、ルールのちがうゲーム」部分で、アメリカのコネ社会ぶり(?)について、以下のように解説されています。

 

「成功者たちは、ふつうの人とはまったくルールのちがうゲームをしていることに気がついた。

 

彼らは、会社から面接に呼んでもらうために、履歴書を書いて応募したりはしない。

 

代わりにネットワークを使うのだ。

 

経済学者が『社会関係資本』と呼ぶものには、計り知れない価値がある。

 

社会関係資本とは、『自分が周囲の人や組織とのあいだに持つネットワークには、実際に経済的な価値がある』ことを意味する。

 

このネットワークは、私たちを会うべき人に引き合わせてくれたり、価値ある情報やチャンスを与えてくれたりする。

 

ネットワークがなければ、自分ひとりですべてをこなさなければならない。」(引用終わり)

 

ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち

ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち

  • 作者:J.D.ヴァンス
  • 発売日: 2017/03/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

ヒルビリー・エレジー」の原著は、当然ながら英語で書かれています。

 

原著は、英語自体がとても読みやすいため、日本語版の「ヒルビリー・エレジー」を読んだ後に原著を読んでみると、よりアメリカ社会の実態を学べると思います :-)。

 

 

< Mr. PDCAのボンジュール英語「補完する」=「complement」>

  

今回出てきた「補完する」の英訳は、「complement」になります。

 

「記録は記憶を補完する」を英語にする場合、「Records complement memory」とすればよいですね :-)。  

 

教養の会計学:ゲーム理論と実験でデザインする

教養の会計学:ゲーム理論と実験でデザインする

  • 作者:田口聡志
  • 発売日: 2020/04/20
  • メディア: 単行本
 

 

 

PDCA (plan-do-check-action) Diary Vol. 455 "Records complement memory"】

 

The material introduced today "Cultural Accounting (Japanese only)" has a catchphrase "Designing with game theory and experiment", and the following phrases were impressive in the part "Record complements memory".

 

"The most important function of accounting is recording and disclosure, but why do companies need to keep records in the first place?

 

We first focus on the research by Dickhaut who compared society with records and society without records in laboratory experiments.

 

A research group by Dickhaut states that the brain is the origin of the accounting system and discusses the relationship between brain activity and accounting behavior.

 

That is, the basis of civilization is the ability to carry out cooperative actions based on trust and reciprocity, but information on these trusts and reciprocity is usually stored in the human brain.

 

For example, information that this trading partner can be trusted or that it is unreliable because it was betrayed by this trading partner is recorded one after another in the part that controls the memory of the brain, and such information is stored at the next transaction.

 

By retrieving the information, it is possible to make a decision on whether or not to make a transaction and what kind of transaction to make.

 

And in a primitive economy, the number of trading partners and transactions is small, so the recording and storage of such information was sufficient only with the brain record.

 

However, as the economy develops and becomes more complex, the brain recording functions will not be enough.

 

That is where the act of recording comes into play.

 

In other words, by recording the transaction history outside the brain at any time, human beings can trade with peace of mind even during economic development, which is a positive thing that calls for further economic development and the positive feedback rule will be created.

 

Considering the above, it is their hypothesis that accounting is a consequence of the increasingly complex economic environment and complements the human brain." (Unquote)

 

Let's function PDCA today!   

 

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