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PDCA日記 / Diary Vol. 457「中国の人口が急増した理由」/ "Why China's population soared"

English follows Japanese.

PDCA日記 Vol. 457「中国の人口が急増した理由」】

 

2020年11月3日に投開票されるアメリカ大統領選挙が近づいてきましたが、アメリカの株式市場は過去に誰が大統領になろうとも、長期的に見ると上昇傾向を続けてきました。

 

この背景には、アメリカの人口動態があると言われています。

 

アメリカは毎年人口が約1%増加している社会であり、先進国の中では稀有な存在になっています。

 

現在のアメリカの人口は約3億3,000万人であり、毎年330万人が増えており、これはすごいことですね。

 

ちなみに、日本は毎年50万人(約4%)人口が減っている状態になっています。

 

アメリカの場合、出生法を採用していることから、外国人の子供であっても、アメリカ国内で誕生すれば、アメリカ国籍を取得できることになります。

 

現在のトランプ大統領は、出生法改正について一度コメントしました。

 

メキシコからアメリカへの不法移民が後を絶たない背景には、出生法の存在があるとも言われています。

 

ただ、現時点(2020年10月)では、出生法の修正までには至っていません。

 

私自身、ニューヨークで働いてみて初めて知りましたが、アメリカでは12週間の有給産休が保障されていますが、出産に伴って経済的な援助が国(アメリ連邦政府)からあるわけではありません。

 

ただ、アメリカでは州が独自に産休制度を取り入れていているところがあります。

 

現時点(2020年10月)で、有給の産休制度を採用しているのは、カリフォルニア州など一部に限られています。

 

アメリカが国として有給の産休制度を提供していない背景には、移民などが外国から勝手にやってきてくれて、特に政策を出さなくても、人口が一定数増加していく仕組みが構築されているかもしれません。

 

また、フランスは先進国の中でアメリカと同じく、合計特殊出生率(女性が一生の内に子供を産む数)が2を超えている珍しい国です。

 

フランスの場合、非嫡出子(婚姻関係にないカップルから生まれた子供)の数が、結婚したカップルから生まれた子供である嫡出子よりも多くなっています。

 

フランスでは1999年に民法が改正され、民事連帯契約(通称「PACS:パックス」)によって結婚していないカップルや非嫡出子の法的な権利が拡大され、「結婚する必要がない」と考える人の数が増えました。

 

私が「日本ではできちゃった婚が多い」とフランス人に話をすると、「なぜ結婚する必要があるのか?」という質問を受けることがあります。

 

韓国人と話をすると、「できちゃった婚が多いのは日本と韓国だけ」ともコメントしており、韓国では「できちゃった婚」ではなく、「スピード違反」と表現するとのことでした。

 

国や地域によって色々な考え方がありますが、日本とフランスの似ているところとして、結婚した場合、9割以上の女性が夫の苗字に変更する点があります。

 

1898年に日本で民法が施行され、その素案を作ったのがフランス人法学者のボワソナードであり、夫婦同姓が日本で義務付けられたのは、この時からでした。

 

最近メディアに登場している元財務官僚だった山口真由弁護士は、自著「いいエリート、わるいエリート」の中で、財務省勤務時代に実際にあった元上司との「とんち」のようなやり取りを紹介しています。

 

「なぜ年を取ると髪が白くなるのか調べて」、「なぜ空は青いのか調べて」という意味不明の質問を、元上司は山口氏にしてきたそうです。

 

いいエリート、わるいエリート (新潮新書)

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  • 作者:山口 真由
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  • メディア: 新書
 

 

今回紹介する資料「人口の中国史」は、「先史時代から19世紀までの中国史」を解説しており、「人口爆発はなぜ起きたのか」部分の以下フレーズが印象的でした。

 

「18世紀に中国の人口が爆発的に増加したのは、なぜなのか。

 

よく行われる説明の一つは、1720年代に税制の一大改革が行われ、人頭税が廃止されたことで、それまで隠れていた人口が表に出た、というもの。

 

『地丁併徴』と呼ばれる改革で、数千年ものあいだ続いてきた『丁』(成人男子)を王朝が登録して、兵力・労働力として徴用する制度が、全廃された。

 

人口史上、このインパクトは大きく、無視はできない。

 

高等学校の世界史の授業などでも、地丁併徴が人口急増の原因だという説明がなされることが多い。

 

しかし、税制改革が人口に与える影響は、一時的なものである。

 

18世紀をとおして民数は増加し続け、18世紀なかばに2億程度だった人口が、約100年後の1850年代に4億まで膨れ上がる理由は、別の所に求めなければならないだろう。」(引用終わり)

 

それでは、本日もPDCAを回して行きましょう!   

 

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人口の中国史――先史時代から19世紀まで (岩波新書)
 

 

P.S. 現在の世界人口は75億人を突破し、今後も増加が予想されています。

 

昔からそうですが、人口が増加しすぎると、食料危機に陥る可能性が出てくると警報を鳴らす人が出てきます。

 

その代表例は、「人口論」の著者であるトーマス・ロバート・マルサス(1766~1834)です。

 

マルサスが「人口論」の中で唱えている命題は、以下のようなものです。

 

「人間が現在と同じような欲望を持ち続ければ、人口は『1→2→4→8→16→32→64』という感じで分等比級数的に拡大していく。

 

一方で、人間が生産可能な食料は、『1→2→3→4→5→6→7』という価値で等差級数的にしか増えない。」(マルサスの命題まとめ終わり)

 

上記のマルサスが問いかけた命題はよく知られていますが、彼がイギリス国教の牧師だったことはあまり知られていません。

 

マルサスは、人口増加が1800年前後のイギリス社会に深刻な影響を与えると主張しました。

 

同時に、マルサスは、イギリス人の結婚年齢を遅らせることで、生まれてくる子供の数を減らす「マルサス主義」を打ち出します。

 

マルサスが目指した「理想郷(晩婚化に伴う人口減少社会)」は、200年の時を経て、現在の日本をはじめとする世界中の先進国で実現しているように見えます。

 

また、マルサス社会主義思想への対抗策としても、産児制限を主張しました。

 

カール・マルクスは「資本論」の中で、「社会主義革命によってのみ、労働者は資本家の搾取から解放される」と主張しました。

 

資本論

資本論

 

 

これに対して、マルサスは「政府の産児制限によって労働者は貧困から逃れられる」と主張したわけです。

 

19世紀にヨーロッパで高まった社会主義運動に対して、マルサスは危機感を感じ、産児制限によって貧困から脱却する方法を提案したのでした。

 

ただ、イギリスで18世紀後半から産業革命が起きて、生産性が大きく向上し、経済の発展と共に爆発的に人口は増加しましたが、マルサスが予想した食料危機は結果的に起こりませんでした。

 

一方で、工業化に後れを取ったアイルランドで、19世紀半ばにジャガイモ飢饉が発生しました。

 

このことから、経済発展によって食糧危機を乗り越えられることが確認されました。

 

その後、工業化を優先する風潮が、世界の資本主義諸国で主流になります。

 

経済成長に伴って女性の大学進学率が増加し、晩婚化が進行し、少子化が進むのは世界共通の傾向になっています。

 

マルサスは「晩婚化」の採用を主張しましたが、西欧諸国は経済成長を成し遂げた後、晩婚化による少子化を結果的に実現したことになります。

 

この辺りのことを考えながら、マルサスの「人口論」を読むと、色々な発見があるかもしれませんね。

 

マルサスの「人口論」は、漫画も出ていますので、秋の夜長に手に取ってみてください :-)。

 

人口論

人口論

 

 

< Mr. PDCAのボンジュール英語「急増する」=「soar」>

  

今回出てきた「急増する」の英訳は、「soar」になります。

 

「中国の人口が急増した理由」を英語にする場合、「Why China's population soared」とすればよいですね :-)。  

 

人口の中国史――先史時代から19世紀まで (岩波新書)
 

 

 

PDCA (plan-do-check-action) Diary Vol. 457 "Why China's population soared"】

 

The material introduced today "Chinese History of Population (Japanese only)" explains "Chinese history from prehistoric times to the 19th century", and the following phrases were impressive in the part "Why did the population explosion occur?"

 

"Why did China's population soar in the 18th century?

 

One of the most common explanations is that in the 1720s, a major tax reform was carried out and the poll tax was abolished, exposing the previously hidden population.

 

This impact was significant in the history of the population and cannot be ignored.

 

However, the impact of tax reform on the population is temporary.

 

The number of poplulation continued to increase throughout the 18th century in China.

 

The reason why the population, which was about 200 million in the middle of the 18th century, grew to 400 million in the 1850s, about 100 years later, has to be sought elsewhere." (Unquote)

 

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