PDCA日記 / PDCA Diary

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PDCA日記 / Diary Vol. 458「機関決定方法」/ "Institutional Decision Method"

English follows Japanese.

PDCA日記 Vol. 458「機関決定方法」】
 

私は銀行員時代、取締役会や経営会議の事務局として、色々な会議体の運営、議事録作成などを担当していました。

 

会議運営方法は企業によって異なっており、コンサルタントになって違いを見るのは非常に興味深かったですね。

 

伝統的な企業の場合、会議に提出する資料を全ての参加者に事前配布し、偉い人達の了承を予め取っておかなければならないところがあったりします。

 

事前根回し型の方法には一長一短があり、おかしな資料が会議に出てこないというメリットがあります。

 

この場合、参加者が事前に確認した資料に基づき会議運営が行われるため、「集まって議論をする意味がないのではないか?」と考える人もいるようです。

 

一方、参加者が資料を事前確認せずに会議が行われる場合、「なぜそうなるのだ?」とか「そこは違うと思う」などの意見が出てきて、議論が活発になるという利点があります。

 

その反面、事前に資料を読んでいない人が多いため、会議中の報告時間が長くなってしまうデメリットがあることも確かでしょう。

 

私は報告のための会議は不要であり、スタッフが集まる場合は、「議論」か「決定」をしなければ意味がないと思っています。

 

この辺りのことは、別のPDCA日記でもお伝えしたいと思いますが、会社組織には無駄な会議が多すぎるような気がします。

 

報告のための会議は、メッセンジャーでの共有に切り替えることで、大幅なコスト削減が見込まれます(国会答弁はLINEで良いと思う :-)。

 

過去のPDCA日記で紹介した上司と部下の定期的な面談である「1on1」についても、事前に話す内容を部下から上司に送付しておくことで、報告時間を短くすることが可能で、予定の大部分を議論や決定に費やすことができます。

 

1on1マネジメント

1on1マネジメント

  • 作者:松丘 啓司
  • 発売日: 2018/04/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

また、私は様々な組織の機関決定方法を調べたことがあります。

 

民間企業だけではなく、政党である自民党旧民主党(現在は消滅)の機関決定方法についても調査しました。

 

自民党には部会と呼ばれる会合があり、朝8時から様々な政策について、議論が行われています(自民党の国会議員は朝型なのね ☀)。

 

 

自民党の部会では、中央官庁の役人や専門家が政策の説明をしたり、各業界関係者から専門分野についてレクチャーを行ったりしています。

 

自民党の場合、部会で議論された政策が政調審議会を通り、党三役(幹事長、総務会長、政務調査会長)が参加する総務会で最終承認する仕組みになっています。

 

一方、2009年から2012年までの約3年間、与党だった旧民主党の場合、自民党とは違う形の意思決定を行っていました。

 

旧民主党には部門会議と呼ばれる仕組みがあり、これが自民党の部会に当たる会議体でした。

 

2012年当時の旧民主党では、部門会議、政調委員会で政策の議論が行われた後、政策調査会長の了承を経て、「政府・民主三役会議」で最終承認する仕組みでした。

 

自民党旧民主党の大きな違いは、総務会の有無でした。

 

自民党の総務会は全会一致が原則で、可決された法案には党議拘束がかかります。

 

与党時代の旧民主党には、自民党の総務会に該当する会議体がありませんでした。

 

その証拠に、与党だった旧民主党が国会に提出した法案について、党内から造反が相次ぎました。

 

旧民主党は機関決定方法が未成熟だったこともあり、空中分解を招いて少数与党衆議院過半数を割った状態)になってしまったのです。

 

2012年12月の衆議院選挙で自民党に大敗し、2009年9月に大きな期待を受けた旧民主党政権はあっけなく崩壊しました。

 

旧民主党が抱えていた上記のガバナンス問題について、今回紹介する資料「官僚」の「官僚排除の慣例を正せ」部分で詳しく解説されています。

 

私自身、所属していた組織のガバナンスが揺らいだ時、機関決定方法に何らかの問題を抱えていたことを覚えています。

 

今回紹介する資料「官僚」は、組織や部門を率いる経営者や管理職の方におすすめの一冊です。

 

それでは、本日もPDCAを回して行きましょう!   

 

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官僚

官僚

 

 

P.S. 2012年に旧民主党衆議院選挙で大敗を喫して下野した際、旧民主党のある幹部は自民党の総務会について、以下のようなコメントをしていました。

 

自民党の総務会が全会一致の原則を採用しているのは、長年の与党経験の知恵である。」(旧民主党幹部コメント終わり)

 

自民党の総務会は党則上、多数決で議決を取ることになっているのですが、慣例として全会一致を採用しているのです。

 

自民党党則:総務会議決方法はP15(PDF上はP21)>

https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/aboutus/organization.pdf#page=18

 

2005年の郵政民営化法案の時など、自民党内で賛否が割れる法案について、多数決で総務会の決議を取った例は何度かあるようです。

 

ただ、基本的に自民党の総務会では議論を尽くし、全会一致で決めることになっています。

 

総務会の議決と違う意見を持っている自民党の国会議員は、反対のコメントを述べて部屋を退室することになっているのです(ある議員曰く、「椅子を蹴っ飛ばして出ていく手法」)。

 

この点も、自民党が長年与党の座を占めてきた知恵であると私は考えています。

 

反対意見を持っている自民党の国会議員は、「この法案に反対である」とはっきりと述べた後に、総務会の部屋を去ることで、禍根を残さないようにしているわけですね。

 

過去のPDCA日記でも紹介しましたが、現在の菅政権が押し進めているデジタル化に伴い、はんこ業界は青色吐息の状態になりつつあります。

 

その中でも、自民党のはんこ議連は業界の意見を代弁する形で、「はんこ文化をなくすのはとんでもない!」という声を上げています。 

 

 

全会一致を原則とする自民党総務会で反対意見がある場合、持論を述べて退室する慣例と同じく、存亡の危機にあるはんこ業界の声を吸い上げようとする(ふりをする?)仕組みが、自民党にはあるわけですね。

 

この辺りの自民党のしたたかさ(?)について、野党はきちんと研究を行い、良いところは取り入れるべきであると、今回紹介する資料「官僚」を読んでみて改めて感じました :-)。

 

旧民主党が与党時代に空中分解した一方で、自民党が2012年に政権を奪還し、その後の長期政権につなげている背景には、「最終的には決める」点と「二度と下野しない」ための権力への執着心があると私は感じています。

 

今後、1年以内に衆議院議員選挙が行われますが、今回紹介する資料「官僚」を読んでおき、自民党の機関決定方法を勉強しておくと、国政選挙に対する見方が変わるかもしれません。

 

また、PDCAカフェで、選挙の話になることが時々あったりします。

 

この間は、ある方が「Mr. PDCA、選挙に行くことが重要であることは分かるのですが、投票したい候補がいません」とコメントされていました。

 

私のお勧めは、「現在の政治に不満があれば野党候補に投票し、満足していれば与党候補に投票する」というものです。

 

どうしても投票できる候補がいなければ、白紙のまま投票箱に入れるという方法もあります。

 

余り知られていませんが、政治家は自分の選挙でどれだけ白票があったか気にしています。

 

白票は、有権者からの「支持する候補者なし」の意思表示であるため、政治家の行動に影響を与えることが可能なわけです。

 

というわけで、どのような状況であっても選挙に行って、投票を行うことが重要になります。

 

また、選挙中は色々な政治家が街頭で活動をすることになります。

 

今のビジネスで抱えているチャレンジがあれば、一度政治家に話かけてみましょう。

 

彼ら、彼女らは有権者の意見に耳を傾けてくれます。

 

街角で政治家に会うことが難しければ、ノーアポで、事務所や議員会館に行くという手法もあります。

 

ちなみに、私は選挙中、現在のビジネスが抱えている行政関連のチャレンジを政治家に直接伝えるようにしています。

 

ここ数年、この活動を繰り返していますが、実際に改善されたケースもあったりします。

 

これも一種の陳情ですが、過去のPDCA日記でもお伝えした通り、皆様も政治家と一度話をしてみてください。

 

普段接することのない政治家と話をすることで、新たな発見がありますし、ビジネスの参考にもなりますよ :-)。

 

 

 < Mr. PDCAのボンジュール英語「機関決定」=「institutional decision」>

  

今回出てきた「機関決定」の英訳は、「institutional decision」になります。

 

「機関決定方法」を英語にする場合、「Institutional decision method」とすればよいですね :-)。

 

官僚

官僚

 

 

 

PDCA (plan-do-check-action) Diary Vol. 458 "Institutional Decision Method"】

 

The governance problems of the former Democratic Party of Japan are explained in the material introduced today "Bureaucrats".

 

The author of this book mentions that "Correct the practice of bureaucrat exclusion". 

 

I personally remember having some problems with the institutional decision-making method when the governance of the organization I belonged to was shaken.

 

This material is a recommended book for CEOs and managers who lead organizations and departments.

 

Let's function PDCA today!   

 

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