【PDCA日記 Vol. 466「科学は進歩してもデマに翻弄される」】
過去のPDCA日記で紹介しましたが、1300年代半ばにヨーロッパで大流行したペストについて、当時は色々なデマが流れたとされています。
当時のヨーロッパ人口3分の1にあたる約5,000万人が、ペストによって命を落としたと言われています。
その様子は、ボッカッチョが残した名著「デカメロン」の中で、詳細に表現されています。
17世紀後半から18世紀前半に活躍したイギリスの著述家であり、ジャーナリストでもあったダニエル・デフォーは「ペストの記憶」の中で、ペストが大流行した1665年から1666年までのロンドンの惨状を描いています。
当時のロンドン市民はペストの恐怖に怯え、様々なデマが街中を覆っていました。
「ペストから逃れられる運勢を占うことができる」と称する魔術師の使いが登場し、多くの顧客から大金を巻き上げたことが、デフォーの「ペストの記憶」に描写されています。
「空気感染を予防する栄養ドリンク」や「ペスト予防に絶大な効果がある薬」の広告が、ロンドンの通りに貼られ、偽医者による違法な医療行為も横行しました。
「ペストの記憶」を読むと、「そんなことが起こるのか」と感じてしまいがちです。
しかしながら、今回の新型コロナウイルス騒動でも、効果のない民間療法情報がネット上に乱れ飛びました。
ペストが流行した数百年前のヨーロッパにおいて、人々のコミュニケーション方法は口コミが主流でした。
現在はテレビや新聞、雑誌などに加えて、インターネット上で情報があふれています。
ペストが大流行したヨーロッパと比較して、現在は情報が多すぎるため、合理的な判断を行うことが逆に難しくなっているのかもしれません。
今回紹介する資料「安政五年、江戸パンデミック」は、「江戸っ子流コロナ撃退法」をキャッチフレーズにしており、「科学は進歩してもいつの時代もデマに翻弄される日本人」部分の以下フレーズが印象的でした。
「明治23年というから西暦で1890年、文明開化をしてから20年以上経ってからのことです。
江戸から改まった東京でも、またまた何度目かのコレラが流行り、日本全体で35,000人もの死者を出しました。
その同じ年には、東京と横浜で電話交換サービスが登場、両市内の200台の電話とつなぐところから電話の歴史が始まりました。
ところが、です。
なんと、『電話がコレラ菌を運ぶ』というデマが広がったというのです。
どうやら『科学が進歩すれば、かような科学的な根拠を持たないデマは流行らない』のではなさそうですね。
今回のコロナ禍では、『医療従事者の家族への偏見』から新たな差別が広がっているとも聞きました。
『医療従事者 = 患者に接する = コロナ陽性者』という短絡的な判断から発生したものでしょうが、正しい知識があれば惑わされることなどけっしてないはずです。
では、デマに騙されないようにするためには一体どうすべきなのでしょうか。
やはり、『歴史に触れる』のがまずポイントだと思います。
人間は『デマに騙されるもの』というのではなく、『デマに騙されて安心してしまう弱いもの』だと察するべきなのです。
いくら科学が進歩しようとも、そんな人間の根本部分はまったく変わっていないのです。」（引用終わり）
それでは、本日もPDCAを回して行きましょう！
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P.S. 2011年3月に東日本大震災が発生した時も、色々なデマが飛び交ったようですね。
私自身、2011年4月までフランスにいたため、東日本大震災を経験していません。
当時、大阪の実家と話をした際、「関西で節電すれば、関東が助かる」という謎のデマが出回っていることを聞きました。
ご存じの方が多いと思いますが、関西と関東ではコンセントから取る交流電気の周波数が違います。
関西は60Hz（ヘルツ）、関東は50Hzであるため、大阪と東京では電力融通ができません。
この点からも、「関西での節電が関東を助ける理論」がデマであることが分かります。
実は、日本のように、地域によって電気の周波数が違う国は珍しいのです。
過去に、周波数統一が試みられましたが、結局実現しませんでした。
その結果、2011年3月の東日本大震災で関西から電力融通ができず、関東での電力不足というチャレンジを引き起こしました。
日本で周波数の相違が発生したのは、1800年代後半でした。
大阪はアメリカ製の60Hz仕様発電機を採用し、東京がドイツ製50Hz仕様の発電機を導入したことが、違いが生まれるきっかけでした。
当時は、明治維新直後の混乱期であり、関西と関東の連携が取りにくかったのは理解できます。
周波数の統一は非常にチャレンジングであり、どちらかの設備を全て変えなければなりません。
電力会社だけではなく、利用者である我々の電気設備も変更する必要があり、家庭にある機器も変えなければならず、統一が進まないというわけです。
何事もそうですが、最初にきちんと決めておくことが重要になりますね :-)。
＜ Mr. PDCAのボンジュール英語「デマ」=「hoax」＞
今回出てきた「デマ」の英訳は、「hoax」になります。
「科学は進歩してもデマに翻弄される」を英語にする場合、「Even if science advances, it is at the mercy of hoaxes」とすればよいですね :-)。
The material introduced today "In 1858, Pandemic in Edo (Japanese only)" has a catchphrase "Life style lessons in Edo for new corona repulsion method", and the following phrases were impressive in the part "Japanese who are always at the mercy of hoaxes even if science advances."
"In Tokyo, cholera epidemic caused 35,000 deaths throughout Japan in 1890.
In the same year, a telephone exchange service appeared in Yokohama, Tokyo, and the history of telephones began by connecting to 200 telephones in both cities.
However, it is said that the hoax that 'The telephone carries cholera bacteria' has spread.
Apparently, it is not true that 'If science advances, hoaxes without such scientific grounds will not be popular.'
I also heard that new discrimination is spreading from prejudice against the family of medical staff for the new corona virus.
It may have come from the short-circuit judgment that 'healthcare professional = contacting the patient = corona positive person', but if you have the correct knowledge, you should never be confused.
Then, what should we do to avoid being fooled by hoaxes?
After all, I think the first point is to touch history.
Humans should be regarded as 'weak creatures that are deceived by hoaxes and relieved' rather than 'creatures that are deceived by hoaxes'.
No matter how much science advances, the fundamental part of human beings has not changed at all." (Unquote)
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