2020年の日本は、インフルエンザ罹患者が歴史的に少ない年になりそうです。
手が荒れるほど手を洗い、アルコール消毒をあちこちで行い、密の発生を避けることによって、インフルエンザをはじめとする感染症を劇的に減らすことが可能であることを、人類が学んだ年だったのかもしれません。
今回紹介する資料「免疫の守護者：制御性Ｔ細胞とはなにか」は「免疫学にパラダイム・シフトをもたらし、がんや自己免疫疾患の治療や臓器移植に革命をもたらすとされる研究の最前線に迫る」をキャッチフレーズにしており、「ヒトはなぜ病気にならずにすむのか」部分の以下フレーズが印象的でした。
「私たちの健康を維持する上で大きな鍵を握っているのが、生体に備わっている『免疫』という仕組みである。
免疫系というシステムが正常に機能すると、体内に異物（病原体）が侵入してきても、それらを排除することにより生体は制御される。
これを、免疫系の『正の応答』という。
ヒトが絶えずウイルスや細菌といった病原体にさらされているのに、感染して大事にならずにすむのは、免疫系が『正の応答』により、これらの病原体を撃退しているからにほかならない。
実は、体内に生じたがん細胞を排除するのも、免疫系の『正の応答』の働きである。
麻疹（はしか）のように、『一度罹（かか）ると二度と罹らない』といわれる病気がある。
これは免疫系の働きによるもので、その効果を利用した医薬品がワクチンである。
これは、無毒化あるいは弱体化した病原体やその一部（ワクチン製剤）を、まだその病気に感染したことがない人の体内に注入する。
いわゆる予防接種で、これにより免疫力が高められて感染しないようになる（あるいは、感染しても重症化するリスクが下がる）。
人類は、ワクチンによって、世界中で死病と恐れられていた多くの感染症から免れることができるようになった。
中には、天然痘（疱瘡：ほうそう）のように地球上から根絶された病気さえある。
ただし、免疫系の『正の応答』は強ければ強いほどよいというわけではない。
免疫系が、細菌やウイルスなどの病原体を異物として攻撃するのは、病原体の持つ『抗原』と呼ばれる標識を認識して、それらを『非自己』であると判定しているからだ。
このような『正の応答』は、生体防御には不可欠な反応であっても、過剰に働くと厄介な事態を招く。
たとえば、体内には、腸内に生息している腸内細菌など、宿主（しゅくしゅ）であるヒトの健康に利益をもたらすような『異物』も存在する。
また、飲食によって体内に取り込まれる『食物』も、妊娠中の『胎児』も、厳密にいえば、私たちの体にとっては『異物』である。
こうした『異物』に対していちいち過剰に反応していたら、さまざまな不都合が生じてしまう。
しかし、よくできたもので、ヒトの免疫系にはこうした過剰な免疫応答を起こさないようにする働きが備わっている。
これを免疫の『負の応答』と呼ぶ。
こうした正負の免疫応答が存在して、それらのバランスがとれているからこそ、私たちは良好な健康状態を維持できるのである。」（引用終わり）
それでは、本日もPDCAを回して行きましょう！
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P.S. インフルエンザの罹患者が激減した一方で、余りにもクリーンな環境で育つ子供たちの将来の健康を危惧する声も上がっています。
生まれたての赤ん坊は、あらゆるものを口の中に入れようとします。
母親の胎内で無菌状態にあった乳児は、色々なものを本能的に口の中に入れて、細菌やウイルスへの免疫をつけようとしているのです。
細菌やウイルスなどは毛嫌いされがちですが、人間にとって必要な微生物が多いことも事実なようです。
というわけで、綺麗すぎる状況というのも良くないということですね。
色々な意味で、バランス感覚が必要になる局面だと思います😊。
＜ Mr. PDCAのボンジュール英語「ワクチン」=「vaccine」＞
今回出てきた「ワクチン」の英訳は、「vaccine」になります。
「ワクチンで感染症を免れることができるのはなぜか？」を英語にする場合、「Why can vaccines prevent infections?」とすればよいですね😊。
The material introduced today "Guardian of Immune: What are Regulatory T Cells? (Japanese only)" has a catchphrase "Approaching the front line", and the following phrases were impressive in the part "Why humans do not get sick".
"The key to maintaining our health is the mechanism of immunity in our bodies.
When the system called the immune system functions normally, even if foreign substances (pathogens) invade the body, the living body is controlled by eliminating them.
This is called the positive response of the immune system.
Humans are constantly exposed to pathogens such as viruses and bacteria, but the reason why they are infected and not important is that the immune system repels these pathogens with a positive response.
In fact, it is also the function of the positive response of the immune system to eliminate cancer cells that have formed in the body.
Like measles, there are illnesses that are said to once you get sick and never get sick again.
This is due to the function of the immune system, and vaccines are drugs that take advantage of this effect.
It injects a detoxified or weakened pathogen or some of it (a vaccine preparation) into the body of a person who has not yet been infected with the disease.
With so-called vaccination, this boosts immunity and prevents infection (or reduces the risk of becoming severe if infected).
Vaccines have enabled humankind to escape many infectious diseases that were feared to be fatal around the world.
Some even have eradicated diseases from the earth, such as smallpox (smallpox).
However, the stronger the positive response of the immune system, the better.
The immune system attacks pathogens such as bacteria and viruses as foreign substances because it recognizes the markers called antigens that the pathogens have and determines that they are non-self.
Such a positive response, even if it is an essential reaction for biological defense, causes trouble when it works excessively.
For example, there are foreign substances in the body, such as intestinal bacteria that live in the intestines that are beneficial to the health of the human host.
Strictly speaking, food taken into the body by eating and drinking and foetation during pregnancy are foreign substances for our body.
If our immune systems react excessively to such foreign substances, various inconveniences will occur.
However, it is well done and the human immune system has a function to prevent such an excessive immune response.
This is called the negative response of immunity.
It is because of the existence and balance of these positive and negative immune responses that we can maintain good health." (Unquote)
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