PDCA日記 / PDCA Diary

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PDCA日記 / Diary Vol. 533「階級は固定化される」/ "Class is fixed"

English follows Japanese.

PDCA日記 Vol. 533「階級は固定化される」】

 

公務員がエリートと呼ばれる国は、それほど多くありません。

 

日本とフランスは、公務員がエリートとされる数少ない国だったりします。

 

ただ、最近はキャリア官僚の道を選ばず、外資系金融機関やコンサルティング会社に入る上位大学の人が増えているようです。

 

私の元同僚でも、キャリア官僚になるための試験に合格したにもかかわらず、「外資系金融機関で働きたい」と言って入社してきた人がいました。

 

また、実際にキャリア官僚になっても、時代遅れな手続きや国会待機という謎の慣習になじめず、早い段階で退職する人が増えているようです。

 


今回紹介する資料「本当は恐ろしい儒教」は、「人格を磨く信仰か、ゆがんだ支配思想か」をキャッチフレーズにしており、「いっけん平等な科挙試験が、階級を固定化した事情:士大夫(したいふ)階級」部分の以下フレーズが印象的でした。

 

唐帝国(618年~907年)の崩壊ののち、中国は五代十国(ごだいじっこく:907年~960年)という分裂と混乱を経て、宋(960年~1279年)による統一となる。

 

宋の時代に台頭するのは、儒教を学びつくした士大夫たちである。

 

宋で士大夫らが強い力を持つようになったのは、ひとつには、宋が文治(ぶんじ)主義を掲げたからである。

 

宋の皇帝たちは、唐の末期から五代十国にかけての戦乱をおぞましい時代と考え、地方軍閥である藩鎮(はんちん)を解体、軍を皇帝直属の禁軍のみとした。

 

軍人を政治から排除し、代わりに文人で宮廷を固めようとしたのである。

 

優秀な人材確保のために、宋が力を入れたのは、科挙である。

 

科挙はすでに隋(581年~618年)・唐時代に機能していたが、宋は科挙を改革した。

 

宋の科挙改革の大きな眼目(がんもく:物事の最重要点)は『殿試(でんし)』である。

 

『殿試』とは、皇帝自らが試験官となり、問題を布告(ふこく)する。

 

宋の皇帝たちは殿試を通じて、科挙に深く関わった。

 

殿試を突破した者らは『進士(しんし)』と呼ばれ、彼らにとって、自らを選抜してくれた皇帝は格別の存在となった。

 

進士らは、皇帝に忠誠を尽くすようになった。

 

彼ら科挙官僚が、士大夫階級と呼ばれる。

 

宋の皇帝たちがいかに士大夫階級を重んじていたかについては、宋の太祖(たいそ)の遺言でもわかる。

 

彼の遺言には『士大夫を殺すべからず』とあった。

 

これまでの中国大陸王朝では、有能な家臣、官僚らが殺されてきた。

 

太祖はこれを憂えて、士大夫の身分を保障しようとしたのだ。

 

実際、宋の歴代皇帝はこの遺言を守っている。

 

士大夫になるための科挙試験は、公平な制度にも映る。

 

勉学に励めば誰にでも士大夫に立身できる機会があるのだが、実際のところは階級として固定化されていく。

 

というのも、いまも昔も勉学には資金を必要とするからだ。

 

いまのエリート大学の出身の多くが豊かな階級の出であるように、科挙合格者たちも豊かな家、豊かな宗族出身が多かった。

 

豊かな階級とは多くが地主である。

 

つまり地主たちの子弟が勉学に励み、科挙を突破、官僚となる構造ができあがっていたのである。

 

しかも、宋代以降の科挙試験では、儒教がテキストの完全な主流となる。

 

科挙に受かるには、儒教経典を丸暗記しながら、同時に注釈をつけていかねばならない。

 

これだけの作業ができるのは、豊かな家の出自で、もともと知的素養を持っていた者たちに限られていた。

 

科挙は暗記に優れたスーパーエリートを生み出し、スーパーエリートは儒教に完全知悉(ちしつ)した読書人であった。

 

宋代の中国大陸は、そうした世になっていったのだ。

 

そして士大夫階級の台頭は、儒教の改革にもつながっていったのだ。」(引用終わり)

 

それでは、本日もPDCAを回して行きましょう!   

 

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P.S. 今回紹介する資料「本当は恐ろしい儒教」が述べている「文知主義」とは、現在で言うところの「文民統制(シビリアン・コントロール)」に近いと私は理解しています。

 

アメリカ軍の最高司令官は合衆国大統領であり、日本では選挙で選ばれた内閣総理大臣が、自衛隊の最高司令官に位置付けられています。

 

戦国時代だった五代十国を経て、宋の為政者たちは、文治主義が社会安定に寄与すると考えたのでしょう。

 

ただ、宋と文治主義と現代の文民統制の違いは、選挙で選ばれた為政者が軍の最高司令官であるかどうかということです。

 

1200年代後半にモンゴル帝国の皇帝クビライが登場し、宋は滅亡することになります。

 

その後、元王朝(1271年~1368年)が誕生しますが、クビライは文治主義ではなく、縁故主義が横行することになります。

 

文治主義と縁故主義のどちらがよいかは不明ですが、現在の日本では役人の世界は文治主義、民間は縁故主義になっているように感じますね😊

 

< Mr. PDCAのボンジュール英語「固定する」=「fix」>

  

今回出てきた「固定する」の英訳は、「fix」になります。

 

階級は固定化される」を英語にする場合、「Class is fixed」とすればよいですね😊。  

 

 

 

PDCA (plan-do-check-action) Diary Vol. 533 "Class is fixed"】

 

The material introduced today "Truly terrifying Confucianism (Japanese only)" has a catchphrase "Is it a faith that polishes personality or a distorted rulership?" and the following phrases were impressive.

 

"In the Song Dynasty (960–1279), the examination for becoming a scholar official is reflected in a fair system.

 

Anyone who worked hard at studying had the opportunity to stand up as a scholar-official, but in reality, it was fixed as a class.

 

This is because studying requires money in any day and age.

 

Just as many of the graduates of today's elite universities are from rich classes, many of those who passed the examination were from rich families and rich denominations.

 

Many of the rich classes are landowners.

 

In other words, the children of the landowners worked hard to study, broke through the Chinese Imperial Examination, and became a bureaucrat." (Unquote)

 

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