PDCA日記 Vol. 1,789「完璧主義の弊害」
日本で働く外国人から、「完璧主義が理解できない」というコメントを聞くことがあります。
あるアメリカ人の知り合いが東京のサラダ専門店でサラダをテイクアウトするためにモバイルオーダーして、店舗に行ったところ「アプリの画面を見せてください」と言われたそうです。
日本人からすると違和感のない対応ですが、合理性を重視するアメリカから来た彼女によると「理解不能」な対応だったようです。
アメリカのサラダ専門店でもモバイルオーダーは一般的らしいのですが、彼女によると「アメリカではアルファベット順にサラダが置かれていて、本人確認はなく、無言で自分のサラダを持っていく方式を取っているところが多い」とのことでした。
日本人の感覚からすると、アメリカのサラダ専門店のやり方について「顧客が間違えて取ったらどうするのか?」「オーダーしていない人が取る可能性があるのではないか?」という疑問が出てきます。
この日本的な質問について、アメリカ人の彼女はため息をついて、「間違えて取ったら作り直してもらえばいいし、勝手に取っていく人はそのうち捕まる」とこれまた合理的なコメントをしました。
私は「なるほど」と感じたのですが、アメリカのサラダ専門店の対応は非常に合理的です。
日本のサラダ専門店の対応の場合、モバイルオーダーをした顧客は店員の人に「●●サラダを注文したXXです」と伝える必要があります。
日本のサラダ専門店の店員は注文されたサラダと顧客のアプリで本人確認をした上で、商品を手渡すことになります。
日本のサラダ専門店の場合、顧客と店員のやり取りの間で、数秒はかかるはずです。
アメリカのサラダ専門店の方式を採用すれば、このプロセスは削減されますし、混雑時に顧客は並ぶ必要がなくなります。
どちらが良い悪いではないですが、完璧を目指す日本の手法は外国人からすると非効率に見えるようです。
日本社会における完璧主義の弊害は色々なところで指摘されています。
日本の政府や官僚組織でほとんど無意識のうちに前提とされているのが、「無謬(むびゅう)性の原則」です。
無謬性の原則とは、「ある政策を成功させる責任を負った当事者の組織は、その政策が失敗したときのことを考えたり議論したりしてはいけない」という信念です。
政府や役所で働いている人達は人間であり、当然失敗することもあるわけです。
無謬性の原則は完璧主義と強く結びついており、人口減少が進む日本社会は「アバウトでも合理的な対応」を受け入れる局面に来ているのかもしれませんね。
完璧を目指す姿勢は、役所だけではなく、民間企業でも見られます。
正常性バイアスという言葉を時折耳にしますが、「自分は大丈夫」という「見たいものしか見ない」人間のチャレンジングな考え方を指しています。
経営者が肝入りで始めたプロジェクトがチャレンジに直面した場合、現場のスタッフは「上手くいっていないため、すぐにやめるべき」と気づくものです。
経営者自身がチャレンジを把握していても、都合の悪い情報を無視し、「自分は大丈夫」「まだ問題ない」などと過小評価する傾向にあります。
正常性バイアスに陥らない方法としては、「撤退タイミング」をはっきり決めておくことです。
言い換えれば、「人間は失敗する」ということを知っておくことが重要ということですね。
失敗することは誰にでもあるため、撤退タイミングをはっきり決めておき、打開策を速やかに実行することが経営者には求められます。
今回紹介する資料「残酷すぎる人間法則」は、「本当に重要なものは、他者との関係である」をキャッチフレーズにしており、「反対の立場から考えてみる」部分の以下フレーズが印象的でした。
「脳は、自分の求める情報と一致するものを記憶し、そうでないものを無視する傾向にある。
そのため、もし改善を望むなら、あえて一致しなかったものを考慮するように努めなければならない。
長期的には、自分の個人的なバイアスをもっとよく理解することで、判断を改善できる。
自分に一貫してあるバイアスを修正することは、判断を改善する優れた方法だ。」(引用終わり)
それでは、本日もPDCAを回して行きましょう!
I sometimes hear comments from foreigners working in Japan that they cannot understand perfectionism in Japan.
The attitude of striving for perfection can be seen not only in government offices, but also in private companies in Japan.
We sometimes hear the term normalcy bias, but it refers to the challenging mindset of people who see only what they want to see.
When a project started with a passion by management faces a challenge, employees often realize that it's not going well and should be stopped immediately.
Even if managers themselves understand the challenges, they tend to ignore inconvenient information and underestimate them by saying things like "We are fine."
One way to avoid falling into the normalcy bias is to clearly decide when to withdraw.
In other words, it is important to know that "humans fail".
Since everyone can fail, managers are required to clearly decide when to withdraw and to quickly implement breakthrough measures.
The material introduced this time, "Plays Well with Others," has the catchphrase, "What is really important is the relationship with other companies."
"The brain tends to remember what matches the information it seeks and ignore what doesn't.
So if we want to improve, we must try to take into account what we dare not agree on.
In the long run, better understanding of your personal biases can improve your judgment.
Correcting your own consistent biases is a great way to improve your judgment.” (Unquote)
Let's function PDCA today!
In case you would like to receive a notice at the time of PDCA Diary post, please utilize Twitter😊. https://twitter.com/MPdca