私が最後に通っていたフランスの学校はブランド・マーケティングが有名で、世界中からマーケティングを勉強したい学生が集まっていました。
LVMH（ルイヴィトンの親会社）やシャネルなどの高級ブランドで幹部を務めていた人が教鞭を取るクラスもあり、授業中にブランド品と神の関係について説明を聞いたことがあります。
一番印象的だったのは、ギリシア神話に登場する「全知全能の神ゼウス（写真参照？）」についての話です。
＜Mr. PDCAが2010年にパリ郊外のキャンパスで聞いたゼウスに関する話＞
その昔、全知全能の神ゼウスには妻と2人の娘がいたそうです。
どの家庭でもそうでしょうが、子供が年頃になると何らかのいざこざが起こるもので、ゼウス家も例外ではなかったそうです（全知全能の神なのに…）。
ゼウス家の問題は、「妻と2人の娘の内、最も美しいのは誰なのか？」を決めることでした（くだらない！）。
ゼウスは自分でその問題を解決しようとせず、美を司る神（名前は忘れた…）に決定させることにしました（ゼウスは逃げたのね）。
美を司る神は言います。「3人の内で誰が一番美しいかを決めるのは、大変骨の折れる作業だ。その前に、あなた方から私（美を司る神）に何かを与えてほしい。」（← こいつも神なのにとんでもないことを言うな。）
ゼウスの下の娘は言います。「私はあなたに完璧な美しさを与えます。」
ゼウスの妻は言います。「私はあなたに成功（良い仕事）を与えます。」
ゼウスの上の娘は言います。「私はあなたが良い母親になれる環境を与えます。」
ーーー
美を司る神も人の子、ではなく神の子なのに、「完璧な美しさ」という最も俗人的な提示を行ったゼウスの下の娘を、「3人の内で最も美しい女性」に選びます。
ここまでお読みになって、「どこかで聞いたことがある話だな？」と思われた方がいるかもしれません。
過去のPDCA日記でも紹介している「女性が求める全てのこと」が、ゼウスの妻と娘たちの提示には含まれているのです。
女性が求める全てとは、「完璧な美しさ」「良い仕事」「良い母親になること」の3つです。
マーケティングの教授によると、時代、地域によって差異はあるものの、「完璧な美しさ」「良い仕事」「良い母親になること」を求めることは、基本的に全ての女性にあてはまるらしいです。
コンビニなどに行って日本の女性雑誌を見ていても、「完璧な美しさ」「良い仕事」「良い母親になること」を意識した女優やモデルが表紙を飾っていますね。
20歳前後の女性向け雑誌は「完璧な美しさ」、30歳前後の女性向け雑誌は「美と成功（良い仕事）の追求」、35歳以降向けの雑誌になると「美と成功と幸せな家庭（良い母親になること）の追求」という風に、表紙を見るだけでターゲットが区分されていることが分かります。
ルイヴィトンやシャネルなどの高級ブランド品の広告を見ると、必ずこの3つの要素が意識されているらしく、昔も今も女性が求めるものは変わらないとの話でした。
ギリシア神話というと、日本に住む我々には縁遠いもののように感じるかもしれません。
ただ、全知全能の神であるはずのゼウスが妻と娘たちのいざこざを解決できず、逃げ出して他の神に仲裁を頼むなど、ギリシア神話は大変人間らしい物語だったりするのです。
「子供は親の思い通りにならない」という現在でもよく聞くセリフが、今回紹介する資料「オリュンポスの神々―マンガ・ギリシア神話」のあちこちに出てきます。
ギリシア神話では、神の親子間でいざこざがエスカレートし、最後には命の奪い合いまで始まります。
今回紹介する資料「オリュンポスの神々―マンガ・ギリシア神話」の作者である里中満智子氏による「こぼれ話」も大変興味深く、教養を高めてくれます。
「タイタニック号」や「タイタン（アメリカの大陸間弾道ミサイル）」などの名称は、ギリシア神話のティタン親族に由来するなど、意外なところにギリシア神話の影響があることを気づかせてくれる名作です。
マーケティングの仕事をしている人や欧州系企業で働いている方などに、今回紹介する資料「オリュンポスの神々―マンガ・ギリシア神話」はおすすめです。
それでは、本日もPDCAを回して行きましょう！
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P.S. 女性が求める3つのこと（「完璧な美しさ」「良い仕事を持つこと」「良い母親になること」）を説明した後、フランスのマーケティングの教授は男性が求めることの話をしました。
教授によると、男性の場合は「完璧な美しさ（カッコよさ）」と「良い仕事を持つこと」の2つを求め、女性とは違い「良い父親になること」を基本的に求めないとのことでした。
授業の最後の質問コーナーで私（Mr. PDCA）は発言しました。「男性はなぜ良い父親になることを求めないのですか？」
教授は言います。「男性が美（カッコよさ）と成功（良い仕事）を手に入れたらどうなる？自動的に父親になる下地は揃うのだよ。ゼウスの時代は、複数の女性との間にたくさんの子供を持つことが権力の証だった。」
私（Mr. PDCA）は言います。「日本でも、150年前までは似たような仕組みがありました（江戸幕府の大奥のこと）。」
教授は言います。「今でも一夫多妻制の国はある。フランスは法律婚よりも事実婚の方が多くなっており、日本の江戸時代と男性の意識は基本的に変わっていないと思うね。」
日本の男性向け雑誌を見ると、「完璧なカッコよさ」と「良い仕事を持つこと」を意識した俳優やモデルが表紙を飾っていますが、「良い父親になること」を全面的に押し出している広告を目にすることは稀です。
40歳前後をターゲットにしている雑誌を見ても、女性向けであれば女優やモデルが小さな子供を抱えている写真が表紙を飾っていたりします。
一方の男性向け雑誌では、子供を抱えている俳優のモデルの写真を見ることは少なく、「カッコよく成功している（ように見える）こと」を全面的に押し出すことが主流です。
この辺りを意識しながら生活すると、マーケティングの感覚を養うことにも繋がります。
ルイヴィトンやシャネルなどの高級ブランドが男性向けに広告を出していることもあり、今回の話を思い出しながら見てみると、ビジネスにおいても新しい発見があるかもしれませんね :-)。
今回出てきた「神話」の英訳は、「mythology」になります。
「ギリシア神話は人間ドラマ」を英語で表現する場合、「Greek mythology is a human drama」とすればよいですね :-)。
【PDCA (plan-do-check-action) Diary Vol. 383 "Greek mythology is a human drama"】
Even today, people often say that "Children do not listen to what parents say", and the same thing seems the same when you take a look at the material introduced today "The Gods of Olympus-Cartoon Greek Mythology (Japanese only)".
In Greek mythology, gods were suffering from dispute between parents and children, and finally they started competing for life.
The spillover stories by Ms. Machiko Satonaka, the author of book are also very interesting and enhance our education.
Names such as the "Titanic" and "Titan (American intercontinental ballistic missile)" are derived from the Titan relatives of the Greek mythology.
This material is a masterpiece that reminds us of the surprising influence of Greek mythology.
For those who work in marketing areas and those who work for European companies, I would like to recommend this material.
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