PDCA日記 / PDCA Diary

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PDCA日記 / Diary Vol. 1,307「お米券は証券だった」/ "The rice ticket was a security"

English follows Japanese.

PDCA日記 Vol. 1,307「お米券は証券だった」
 

私が金融業界出身ということもあって、大学生や大学院生の方で銀行や証券会社への就職を目指す人から、連絡をもらうことがあります。

 

経済学の研究をしている学生もおり、金融に関するアカデミックなことから過去のバブル崩壊に関することまで、様々なことについて話をすることになります。

 

先日の議論で面白いと思ったのは、「金融市場において投機は必要か?」というテーマでした。

 

ある大学生の人だったのですが、その方は「投機が市場を歪めている」という考えを持っているようでした。

 

私は「投機が市場の厚みを増してくれる」という意見を持っており、今回紹介する資料大坂堂島米市場 江戸幕府vs市場経済」をお勧めしました。

 

大坂堂島米市場 江戸幕府vs市場経済」は、「世界最古の先物取引所」と呼ばれる大坂堂島米市場を解説しており、以下フレーズが印象的でした。

 

「米切手とは、諸大名が大坂で年貢米を売り払う際に発行した、言わば『お米券』である。

 

この『お米券』を購入し、発行元の大名に提示すれば、1枚当たり10石(コメの重量にして約1.5トン)の米俵と交換してもらうことができた。

 

期限内であれば、いつ米俵と交換してもよいので、商人たちは、しばらくの間『お米券』のまま市場で取引を行った。

 

重くて嵩(かさ)の張る米俵で取引するのはいかにも不便だから、当然と言えば当然である。

 

このように、発行した『お米券』について、全てが直に米俵との交換を要求されるわけではないことを知っていた大名は、実際に大坂で保管している在庫米の量以上に『お米券』を発行し、資金調達を行うことがあった。

 

いや、それが日常化していた。

 

つまり、実際に大坂に存在する米の量以上の『お米券』が、大阪市場を飛び交っていたのだ。」(引用終わり)

 

それでは、本日もPDCAを回して行きましょう!   

 

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P.S. 私が「投機は必要」と考えている根拠の一つに、アメリカにおけるハイイールド債券市場があります。

 

ハイイールド債券とは比較的格付けが低い企業が発行する債券のことを指し、リスクが高めであることから金利も高めに設定されています。

 

ハイイールド債券市場は実需だけで成り立っているわけではなく、金利の上下によって利益を狙う投機筋と言われる投資家が世界中から参加し、活発に売買をしています。

 

「リスクは高めでも高金利の債券が欲しい」と考えている個人投資家しか取引できない場合、ハイイールド債券市場の取引額は極めて限られることになります。

 

ここに利益目当ての投資家(投機家?)が参入することによって、取引額は大きくなり、実需買いの個人投資家にとっても選択肢が広がることになります。

 

今回紹介する資料大坂堂島米市場 江戸幕府vs市場経済」の著者も、市場が厚みを増すためには投機が必要と考えているようで以下のように述べています。

 

「大阪で形成された『お米券』の価格は、米飛脚という、米相場情報の伝達に特化した飛脚集団によって全国へと送信されていた。

 

飛脚の速度に飽き足らない者たちは、鳩や手旗信号によって米相場を伝達することまで始めた。

 

他者よりも早く大坂の米価を知りたいと願う、非常にせわしない人々が、日本各地に分厚く存在していたのである。

 

これを市場経済の発展と言わずして何と言おう。」(引用終わり)

 

大坂堂島米市場 江戸幕府vs市場経済」に登場する「米飛脚」は、現在のブルームバーグやロイターなどの金融情報メディアであるとも言えます。

 

大坂堂島米市場で投機が行われたことによって、米飛脚というメディアが登場したり、鳩や手旗信号で米市場を伝達するというアイデアも出たというのです。

 

鳩や手旗信号による情報伝達は、江戸幕府によって禁止されることになりますが、これはマイケル・ルイスの「フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち」に描かれている世界そのものです。

 

大坂で米の先物取引が開始されたのは1600年代末頃であり、今から300年以上前から資本主義経済の無限の可能性について、実験が開始されていたのは驚くべきことですね :-)。

 

 

< Mr. PDCAのボンジュール英語「投機」 = 「speculation

 

今回出てきた「投機」の英訳は、「speculation」になります。

 

「投機が市場を歪めているのか?」を英語で表現する場合、「Is speculation distorting the market?」とすればよいですね :-)。 

 

 

 

PDCA (plan-do-check-action) Diary Vol. 1,307 "The rice ticket was a security"

 

The material introduced today "Osaka Dojima Rice Market: Edo Shogunate vs Market Economy (Japanese only)" explains the Osaka Dojima Rice Market, which is known as the "Oldest futures exchange in the world," and the phrases below were impressive.

 

"The price of the rice ticket formed in Osaka was sent nationwide by a transportation group called Hikyaku, which specializes in transmitting rice market information.

 

Those who weren't tired of the speed of the courier even started to convey the rice market price with doves and flag signals.

 

There were generous people all over Japan who wanted to know Osaka's rice price earlier than others, and who were very busy.

 

What do you say without saying this as the development of the market economy?" (Unquote)

 

Let's function PDCA today!   

 

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