PDCA日記 / PDCA Diary

継続は創造だ! / Continuity is Creation!

PDCA日記 / Diary Vol. 588「なぜ非合理的な判断をするのか?」/ "Why do we make irrational decisions?"

English follows Japanese.

PDCA日記 Vol. 588「なぜ非合理的な判断をするのか?」】

 

突然ですが、問題です。

 

皆様は以下の二択がある場合、どちらを選びますか?

 

a. 確実に3,000円支払わなければならない。
b. 8割の確率で4,000円支払わなければならないが、2割の確率で1円も支払わなくてもよい。

 

bを選ばれた方も結構いるのではないでしょうか?

 

ただ、合理的な選択はaです。

 

損失の期待値がマイナス3,200円(4,000円×0.8)になるbの方は、非合理的な選択となります。

 

上記の選択肢について、「ある実験では92%がbを選択した」と今回紹介する資料「経済学者たちの日米開戦:秋丸機関「幻の報告書」の謎を解く」は説明しています。

 

私がフランスで学生に戻っていた時、人気の授業だったのが行動経済学です。

 

行動経済学は、「人間はなぜ非合理的な行動を行うのか?」などの命題に学術的に取り組んでいます。

 

金融機関に勤務するエコノミストやストラテジストなども、行動経済学に注目しています。

 

過去のPDCA日記で紹介したダニエル・カーネマン氏は、非合理的な選択を行う人間の心理の研究(プロスペクト理論)によって、心理学者として初めてノーベル経済学賞を2002年に受賞しました。

  

 

太平洋戦争が始まった1941年当時、アメリカと日本の国力差は20対1でした。

 

このことは経済学者だけではなく、当時の日本政府首脳も理解していました。

 

にもかかわらず、1941年12月に日米開戦を日本政府が選択したのはなぜなのでしょうか?

 

その答えを解く鍵が、プロスペクト理論です。

 

今回紹介する資料「経済学者たちの日米開戦:秋丸機関「幻の報告書」の謎を解く」は、以下の仮設を立てています。

 

a. 1941年8月以降はアメリカの資金凍結・石油禁輸措置により日本の国力は弱まっており、開戦しない場合、2-3年後には確実に「ジリ貧」になり、戦わずして屈服する。


b. 国力の強大なアメリカを敵に回して戦うことは非常に高い確率で日本の致命的な敗北を招く(ドカ貧)。ただ、非常に低い確率ではあるが、日本が開戦直後に有利な展開に持ち込むことができればアメリカは交戦意欲を喪失し、早い段階で有利な講和を結べる(かもしれない)。

ーーー

 

「どちらにしても負けるのであれば、合理的ではない判断を人間は行う(リスク愛好的になる)可能性がある」という本書の説明は、非常に興味深いと感じました。

 

当時の日本政府首脳が、 b のような考えで判断を行ったかどうかの確証は取れません。

 

ただ、ビジネスにおいても同じ現象が起こりえると私は思います。

 

人間は、損失についての選択肢ではリスク愛好的になってしまいます。

 

一方、利得についてはリスク回避的になることがプロスペクト理論で説明されています。

 

a. 確実に3,000円もらえる。
b. 8割の確率で4,000円もらえるが、2割の確率で1円ももらえない。

 

上記のような形に選択肢が変更された場合、多くの人は期待値の大きさと反対に「確実に3,000円もらえる」という選択肢aを選ぶことが分かっています(合理的な選択肢はb)。

 

この理屈と同じように、1941年に日本政府が取りうる選択肢として、「3年後にジリ貧になって屈服する」というネガティブなものではなく、「今(1941年)は戦わず、3年後でもアメリカと勝負できる国力と戦力を保持できるプラン」のようにポジティブな選択肢であれば、「日本が致命的な敗北を喫するリスクを避けて開戦回避という選択肢が選ばれた可能性がある」と本書は指摘しています。

 

「ネガティブなプランではなく、ポジティブな選択肢を提示することで、合理的な判断が行われる可能性がある」と解説するプリンシパル理論は、ビジネスを行う上で役立つのではないかと、今回紹介する資料「経済学者たちの日米開戦:秋丸機関「幻の報告書」の謎を解く」を読んで感じましたね😊。

 

現状に不満を述べているよりは、チャレンジングな状況でも与えられている仕事に前向きに取り組み、日々改善を続ける方がビジネスにおいて重要であることを、本書は遠回しに言っているような気がしました(俺って前向きだなぁ😊)。

 

それでは、本日もPDCAを回して行きましょう!   

 

PDCA日記が更新されたら通知が欲しいという方がいましたので、そのような場合は Twitter をご利用ください😊。https://twitter.com/MPdca

 

 

P.S. 1941年の日米開戦の判断は、「どう考えても勝てない相手(アメリカ)に対して戦いを挑んだ暴挙」と考えられていますが、ビジネスや行政において、似たような無謀な判断は現在でも世界中のあちこちで行われています(経験談!)。

 

この背景には、過去のPDCA日記で紹介したミルグラム実験で証明されている通り、「人間は権力に逆らえない」ことがあるように感じています。

 

 

ビジネスにおいて無謀な判断に直面した際、「逃げる」という選択肢があるため、あまりにもおかしなことが行われている場面に遭遇したら、その場から離れることがポイントになると思います(要は、会社を辞めるということね)。

 

「自分はここから逃れられない」という考えに陥っている場合、早めに周りに相談しましょう😊。

 

< Mr. PDCAのボンジュール英語「非合理的な」 = 「irrational」>

 

今回出てきた「非合理的な」の英訳は、「irrational」となります。

 

「合理的な」の英語は「rational」となり、分かりやすいですね😊。

 
PDCA (plan-do-check-action) Diary Vol. 588 "Why do we make unreasonable decisions?"】
 

It may sound sudden, but I have a small quiz for you.

 

Which would you choose if you have the following two options?

 

a. You must pay USD 30.
b. You have to pay USD 30 with 80% probability, but you don't have to pay at all with 20% probability.

 

Some of you might have chosen option b, but a reasonable choice is option a.

 

Option b is an unreasonable choice, because the expected loss is minus USD 32 (USD 40 x 0.8).

 

Regarding the above options, “92% selected option b in one experiment” according to the material to be introduced today “Economist Report (Japanese only)".

 

When I was a business school student, one popular class was behavioral economics, which analyzed academically on propositions such as "Why do humans act irrationally?"

 

This world may be interesting, because humans being make irrational decisions😊.

 

Let's function PDCA today!   

 

In case you would like to receive a notice at the time of PDCA Diary post, please utilize Twitter😊. https://twitter.com/MPdca 

プライバシーポリシー・お問い合わせ