PDCA日記 / PDCA Diary

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PDCA日記 / Diary Vol. 849「伝統を疑ってみる」/ "Doubt tradition"

English follows Japanese.

PDCA日記 Vol. 849「伝統を疑ってみる」】
 
保守系の政治家がインタビューなどで、「これは日本の伝統です」とコメントすることがあります。
 
現在、選択的夫婦別姓が様々なところで議論されています。
 
選択的夫婦別姓に反対する人の意見として、「夫婦同姓は日本の伝統」というものがあります。
 
夫婦同姓が日本で法制化されたのは明治民法(旧民法)が制定された1898年(明治31年)であり、約120年前のことになります。
 
武士を除いて江戸時代に名字を持つ人は少数でしたが、明治維新後の1875年に姓の利用が義務化されます。
 
つまり、1875年から1898年までの日本においては、夫婦別姓が認められていたことになります。
 

明治民法はフランス人法学者だったボアソナードが起案しており、夫婦同姓はフランスの伝統(ナポレオン法典)という説があります。

 

フランス人女性が結婚したら、9割が夫の姓を使いますが、この比率も日本に近いですね。

 
というわけで、「夫婦同姓が日本の伝統」という考え方は、かなり微妙と言えるでしょう。
 
まあ、120年の歴史を「伝統」と言えなくもないため、考え方は人それぞれでしょうが。
 
私がコンサルタントとしてお世話になった会社でも、「Mr. PDCA、これは我が社の伝統です」と唱え、変革に反発する方がいました。
 
こういう場合、私は「そうですか。では、その習慣はいつから始まった伝統ですか?」という意地悪な質問をするようにしています。
 
私が何を言いたいかというと、世の中で「伝統」と呼ばれるものの多くは、つい最近出来上がったものが多かったりするということです。
 

今回紹介する資料「「日本の伝統」の正体」は、「伝統と呼ばれている習慣の多くが明治時代以降に定着した」をキャッチフレーズにしています。

 

日本にはさまざまな伝統があると考えられていますが、「実際には疑わしいものがある」というのが本書の仮説です。

 

よく知られている伝統の一つに、「丑の日のウナギ」がありますが、本書によると平賀源内が編み出したのではない可能性があるとのことです。

 

仮説を立てるということは疑うことでもあり、伝統というものの正当性に対して仮説を立てるのは意義のあることなのでしょう。

 

伝統行事である正月を迎える前に、一読するとよい一冊ですね。

 

それでは、本日もPDCAを回して行きましょう!   

 

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「日本の伝統」の正体

「日本の伝統」の正体

  • 作者:藤井 青銅
  • 発売日: 2017/11/23
  • メディア: 単行本
 

 

P.S. 人によっては、「夫婦同姓は東アジアの伝統」と言い出すことがあります。

 

実際には、隣国の中国や韓国は今も夫婦別姓を採用しており、夫婦同姓が東アジアの伝統ではないことも明らかです。

 

「これは伝統だ」と言い張る人の対策として、今回紹介した資料「「日本の伝統」の正体」を読んでおくとよいかもしれませんね😊。

 

また、ビジネス界では、「終身雇用と年功序列は日本の伝統」とコメントする経営者がいたりします。

 

「終身雇用」という言葉が最初に使われたのは、約60年前の1960年です。

 

しかも、最初に終身雇用という単語を述べたのは、日本人ではなくアメリカン人のビジネスパーソンであるジェームス・アベグレン氏でした。

 

戦略コンサルティング会社であるボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の初代日本代表だったアベグレン氏は、「日本の経営(原著は「The Japanese Factory」)」という本を出版します。

 

アベグレン氏は、この本の中で「終身雇用」という言葉をはじめて使ったのでした。

 

 

また、「年功序列」は太平洋戦争前に三菱重工業で開発された雇用システムです。

 

戦前の三菱重工業軍事産業に携わっていたこともあって、従業員が急増し、年次の人事査定をきちんと行うことがチャレンジングな状況に陥りました。

 

現在でも三菱重工業は世界中におよそ4万人の従業員を抱える大企業ですが、戦前はスタッフが30万人を超えていたことから、年功序列制度を導入し、在籍期間が長い人の給与を上げていくことにしたわけですね。

 

日本企業の代名詞になっている終身雇用は戦後、年功序列は戦前に導入されており、イメージよりも歴史が浅いと思いますね😊。

 

< Mr. PDCAのボンジュール英語「伝統」 = 「tradition

 

今回出てきた「伝統」の英訳は、「tradition」になります。

 

「彼は伝統を疑ってみた」を英語で表現する場合、「He doubted tradition」とすればよいですね😊。

 

「日本の伝統」の正体

「日本の伝統」の正体

  • 作者:藤井 青銅
  • 発売日: 2017/11/23
  • メディア: 単行本
 

 

  
PDCA (plan-do-check-action) Diary Vol. 849 "Doubt tradition"】
 

In some interviews, conservative politicians have commented, "This is a Japanese tradition."

 

Even in the corporate sector, I heard the comment that "Mr. PDCA, this is our company's tradition."

 

In such a case, I tried to ask a mean question, "Is that so, when did that tradition started?"

 

Many of the so-called “traditions” in the world have recently been started.

 

The material introduced in today "The Identity of Japanese Tradition (Japanese only)" has a catchphrase "Many customs called traditions have taken root since the Meiji era from 1868".

 

It is believed that there are various traditions in Japan, but the hypothesis in this book is that there is something in doubt.

 

It's a good book to read before the traditional event, New Year.

 

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