PDCA日記 / PDCA Diary

継続は創造だ! / Continuity is Creation!

PDCA日記 / Diary Vol. 950「T型人材よりもI型人材」/ "I-type rather than T-type"

English follows Japanese.

PDCA日記 Vol. 950「T型人材よりもI型人材

 

今回紹介する資料「シャープ再建の軌跡」は、「シャープと鴻海に興味があるすべての人々に本書を捧ぐ」をキャッチフレーズにしており、「戴正呉(たい・せいご)新社長の奮闘」部分の以下のフレーズが印象的でした。

 

「(戴正呉社長は)さらに、(2016年)6月下旬以降に新しい取り組みを次々と発表した。

 

まず改革の司令部となる社長室を新設して200人という大規模部隊で人事制度や構造改革を進める。

 

また、若手社員が3つの部門を経験するというシャープ従来のローテーション制度を廃止する。

 

つまり、複数領域の知見を持つT型人材よりも、特定分野に精通するI型人材を重要視するということである。

 

そして、全社的な人員削減の数値目標を設定しないが、事業整理や成果主義導入によって社員数は自然淘汰的に絞られていく。」(引用終わり)

 

シャープ再建のために台湾の鴻海から送り込まれた戴正呉氏は、2016年に日本に一人でやってきて、シャープの独身寮に住み始めたことで知られています。

 

数千億円規模の出資を行う場合、新しい役職員がぞろぞろとやってくることが一般的ですが、戴正呉氏は単身でシャープに乗り込んできたことになります。

 

事業再生やターン・アラウンドに興味がある方は、今回紹介した資料シャープ再建の軌跡」を読んで、戴正呉氏の経営手法を参考にするとよいでしょう。

 

それでは、本日もPDCAを回して行きましょう!   

 

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P.S. 私が学生に戻っていたころ、繰り返し言われたことの一つに、「得意な分野で勝負しろ」ということがあります。

 

スペシャリストとして得意分野を伸ばしつつ、専門領域ではないところでもジェネラリスト的な知見を広げていくビジネスパーソンは、「T型人材」と呼ばれています。

 

T型人材の「T」の縦棒(I)は専門性の深さを意味し、横棒(ー)は知見の広さを意味しています。

 

スペシャリスト兼ジェネラリストがT型人材であるのに対して、スペシャリストは「I型人材」、ジェネラリストは「一(いち)型人材」と呼ばれています。

 

私の最初の職場だった外資系金融機関は、スペシャリストの集団だったため、I型人材の宝庫だったわけですね。

 

一方、日本の銀行など定期的なローテーションが行われている伝統的な組織では、ジェネラリストである一型人材が好まれる傾向にあります。

 

ビジネススクールに行くと、基礎科目として会計、財務、組織論、マーケティング、戦略などが必修科目になっています。

 

真のリーダーになるためには、1年目の基礎科目をきちんと履修した上でジェネラリスト(ー型人材)になり、2年目に専門科目を受けることによって、スペシャリスト(I型人材)として専門性を伸ばし、T型人材として社会に出てもらおうというわけですね😊。

 

アメリカやヨーロッパの企業では、スペシャリスト(I型人材)採用が主流であるため、ビジネススクール出身者がジェネラリスト(ー型人材)としての知見を身に付けたT型人材を、幹部候補として入社させるのは非常に合理的であるとビジネススクールを卒業した10年後の今更ながら感じています。

 

世界の名言 481」という本は、「結果を出すために知っておきたい!をキャッチフレーズにしており、以下フレーズが印象的でした。

 

「短所を直すにはすごいエネルギーが必要だけれど、長所を伸ばすのは楽である。

 

ぼくでも社長が務まった』より。

 

ぼくでも社長が務まった

ぼくでも社長が務まった

 

 

短所を直すことに莫大な労力をかけるより、長所をさらに伸ばすように努力したほうが得策だろう。

 

自分の短所と長所をよく見極めて、積極的に取り組もう。」(引用終わり)

 

 

経営者や管理職の方で、「不得意分野の克服が課題である」とコメントされるケースが時々あります😊

 

そのような場合、自分の苦手分野を伸ばそうとするよりも、それが得意な人に来てもらい、代わりにやってもらう方が効率的です。

 

その際、「自分は苦手な分野だから宜しく頼むよ」と事実を伝えることがポイントになります。

 

そうすることで、チームメンバーや部下の人たちは、社長や上司の苦手分野を理解でき、自ら動く範囲が理解でき、彼ら、彼女らにとっても活躍の可能性が大きくなるからです😊。

 

一番良くないのは、社長や管理職ができないことを「できる」と言ってしまうことです。

 

できないことを「できる」、分かっていないことを「分かっている」ということは、ビジネスパーソンがしてはいけないことの最たるものです。

 

過去のPDCA日記で、ソクラテスの「無知の知」を紹介しました。 

 

 

ソクラテスが「西洋最大の哲学者の一人」と呼ばれる背景には、「自分には知らないことがあることを知っている」という「無知の知」を理解していたことがあるのでしょう。

 

ビジネスを成功させた経営者は全知全能感を持ってしまいがちですが、全知全能であるのは神だけであり、人間は全知全能にはなりません。

 

現代の無知の知の例としては、ゼロックス元会長のアン・マルケイヒー氏が挙げられます。

 

彼女は、ゼロックスで「マスター・オブ・『アイ・ドント・ノウ』」と呼ばれていました。

 

マルケイヒー氏は人事畑を歩んできて、ゼロックスの事業に精通しているわけではなかったのですが、2000年に最高執行責任者(COO)に就任します。

 

彼女がCOOとして最初にやったのは、チームアップとファクトファインディングでした。


マルケイヒー氏は自分が何を知らないかということをとことん理解し、開き直って「アイ・ドント・ノウ(知らない)」を連発したのです。

 

「知らないなら、知っている人を呼べばいい」という理屈を彼女は貫き通したことになります。

 

マルケイヒー氏は自分自身に専門性がない財務や研究開発、製品開発等の領域に精通した人を集めてチームをつくり、結果的にそれが功を奏してターンアラウンドに成功することになります。

 

一番上の人が「知らない」と宣言している組織であれば、分かっているふりをするインセンティブが従業員にもなくなります。

 

できないことはできない、分からないことは分からないと全員が言える会社が、実は一番強いのかもしれませんね😊。

 

 

< Mr. PDCAのボンジュール英語「」 = 「dormitory

 

今回出てきた「」の英訳は、「dormitory」になります。

 

「彼は独身寮に住み始めた」を英語で表現する場合、「He started living in a bachelor dormitory」とすればよいですね😊。

 

<マドモアゼルPDCAのメルシー映画「ナラタージュ」>

 

本日は、映画「ナラタージュ」を紹介します。

 

 

原作は小説で、こちらの方が有名かもしれませんね。

 

 

小説が原作の作品が映画になる場合、余り時間を置かないことが一般的です。

 

ナラタージュ」の場合、小説が発表された2005年から12年を経た2017年に映画が上映されています。

 

映画の評価は賛否両論ありますが、私は結構好きでしたね。

 

高校教師と卒業生の愛の物語ですが、色々な意味で興味深い映画でした😊。

 

  

 
PDCA (plan-do-check-action) Diary Vol. 950 "I-type rather than T-type"
 

The material introduced today "Sharp Reconstruction Trajectory (Japanese only)" has the catchphrase "Dedicate this book to all those who are interested in Sharp and Hon Hai", and the following phrases in the "Struggle of the new president Tai Jeng-wu" part were impressive.

 

"New President Tai Jeng-wu also announced new initiatives one after another after the end of June 2016.

 

First, the president's office, which will be the headquarters for reforms, will be newly established, and a large-scale unit of 200 people will promote personnel system and structural reforms.

 

In addition, Sharp's conventional rotation system, in which young employees experience three departments, will be abolished.

 

In other words, I-type human resources who are familiar with a specific field are more important than T-type human resources who have knowledge in multiple fields.

 

Although we do not set numerical targets for company-wide personnel reduction, the number of employees will be naturally selected by business reorganization and the introduction of pay-for-performance." (Unquote)

 

Let's function PDCA today!   

 

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